市川ゆうゆう(介護老人保健施設)

要約

介護老人保健施設で入所者18人・職員5人が陽性となり、入所者5人が亡くなったクラスター事例。陽性者が判明した時点で、保健所から病床逼迫のため施設内療養の指示を受けた。発生当時は1日のPCR検査件数も制限されており、検査と陽性者隔離を繰り返し、22日目にようやく発生者のいるフロアの全利用者と職員に一斉検査が実施できた。老健で陽性者の治療とケアを行うことは厳しく、混乱と葛藤があったが、関連病院の感染症専門の医師・看護師を含む対策本部を早期につくり、施設長から社会的トリアージの意義、科学的に根拠のある情報を都度共有して冷静な対応に努め、離職者を生まずにケアを継続した。

医師からみたポイント

よかったこと
  • 職員の離職なく施設内療養を継続
    長期にわたり陽性者の発生と施設内での対応を迫られたなか、職員の業務継続に向けてさまざまなサポートがなされました。
  • 感染症専門家を含む迅速な対策本部の設置
    検査結果判明前に関連病院の感染症専門家を含む対策本部が設置されています。指揮系統を早期に確立してオンラインを含めてリアルタイムの情報共有をはかったことは、その後の様々な場面に影響したと考えられます。
  • こまめな情報公開
    ホームページに事実をこまめに掲載していったことは関係者の不安解消につながっていることが期待できます。
その他アドバイス
  • ノウハウの共有
    2020年4月というまだまだ感染症の実態把握が進んでいなかった時期に、陽性者を含み制御の難しい入所者の支援にあたり、死亡も経験した職員さんのストレスは大きなものだったと思われます。既に対応の経験について多くの情報発信をしておられますが、平時及び終息後のマネジメントの工夫についても、他の事業所にとって貴重な学びになるのではないかと考えられます。
インタビュー実施日:2021年1月6日 インタビューご回答者:施設長 伊藤慎介様

法人概要

法人の経営主体公益社団法人地域医療振興協会
法人全体の職員数9,283人
法人全体の事業所数78
実施事業病院・診療所・介護老人保健施設・医師派遣・医師研修等
ウェブサイトhttps://www.jadecom.or.jp/

拠点概要

所在地千葉県市川市
開設年2016年4月
ウェブサイトhttps://www.ichikawayuuyuu-jadecom.jp/
フロア 利用者数(定員) 職員数
介護老人保健施設 2階:一般療養棟50床3階:一般療養棟50床4F認知症療養棟50床 117人(150人) 94人
短期入所療養介護 上記117人に含まれる(空き病床利用により定員なし)
通所リハビリテーション 2階 20人(20人) 7人

新型コロナ陽性者等発生と対応の概要

陽性者数(うち死亡者数) 23人(入所者18人、職員5人)、死亡者5人(入所者5人)ショートステイと通所リハの利用者に陽性者なし
濃厚接触者数
感染源・感染経路不明
事業所が発生・収束とみなす日2020年4月1日〜2020年6月11日
発生から収束までの休業や利用制限2020年4月9日~2020年6月11日(新規の入退所禁止)、ショートステイ、デイケアは2020年4月9日~6月30日まで休業
事業所外からの応援(法人内外)法人内から医師1人、看護師2人

陽性者発生以前の状況・感染対策等

  • 本事例以前の新型コロナにかかわる状況:
    • 全職員の出勤前体温測定・出勤後手洗い・勤務開始前体温測定・症状確認
    • 委託業者・療養棟内立入者の体温測定・症状確認
    • (終末期の方を除く)家族の面会の禁止
  • 感染対策の特徴:
    • 標準予防策を徹底し、感染予防に関し高い意識で実践していた。
  • BCP策定状況:
    • あり
  • 新型コロナ陽性者発生状況と対応の経緯

    病日 日程 項目 備考
    1(第1病日) 2020年
    4月1日
    • 入所者Aが発熱、以後37.5度以上の発熱が計6日継続
    4 4月4日
    • 2階で入所者2人、4階で入所者2人に発熱あり(内1人は発熱と心不全のため救急搬送)
    • 保健所及び帰国者・接触者相談センターに連絡するも連絡がつかず
    6 4月6日
    • 保健所に連絡、すぐに検査とはならず
    7 4月7日
    • コロナ対応経験のある病院医師に相談、医師から保健所に依頼し、施設にて入所者A、他同日に発熱していた3人の入所者にPCR検査を実施
    8 4月8日
    • 入所者Aの陽性、残り3人の陰性判明
    • 全利用者家族、担当ケアマネ、敷地内他事業者、関連業者へ連絡
    • 新規の入退所、ショートステイ、デイケアを中止、職員の階をまたいでの業務禁止、施設外への搬送の禁止により施設内にて感染拡大を抑えるように保健所から指示があり
    • 通所リハは発生フロアと階が違い接点がなかったことからPCR検査不要と保健所から指示あり
    • 病床が少なくなっていること、同時期に松戸市内でクラスターが発生していたことから陽性者を施設内に止めるようにと保健所から指示あり
    • 入所者Aが4階の入所者だったため、2・3階と4階の行き来がないようにゾーニング開始(PPE適用開始)、施設内の動線を分離(ロッカーを分ける、エレベーターと階段の使用を分ける)
    9 4月9日
    • 入所者Bが陽性と判明
    • 2階、3階フロアの利用者に、施設内で感染症発生、フロア間の移動不可と伝えた
    11 4月11日
    • 職員Aの陽性が判明
    • 感染症専門医が来設
    • 入所者Aが亡くなる
    14 4月14日
    • 入所者2人、職員1人が陽性と判明
    16 4月16日
    • 千葉県がクラスターとして施設名を公表、施設ホームページで経緯と感染状況を連日発表
    • 入所者2人の陽性判明
    18 4月18日
    • 入所者4人が陽性と判明
    • 感染管理認定看護師が来設
    19 4月19日
    • 入所者2人が陽性と判明
    20 4月20日
    • レッドゾーンを拡大、4階フロアの全入所者に対してPPEを装着、2、3階の利用者の人数を減らして対応を軽くするために他事業所への移動など退所を促す
    22 4月22日
    • 入所者2人、職員1人が陽性と判明
    • 感染管理認定看護師が来設
    • 発生当初から1日のPCR検査数は5件までと保健所から制限されていたが、保健所への強い働きかけで、発生者のいる4階フロアの全入所者と職員に一斉に検査を実施
    • 医師1人、看護師2人が応援に入る
    23 4月23日
    • 保健所・千葉県衛生研究所のFETP研修(実地疫学専門家養成コース)を受けた職員の実地調査
    24 4月24日
    • 感染管理認定看護師が来設
    25 4月25日
    • 合併症発症により入所者1人が入院
    27 4月27日
    • 保健所より、家族の希望がある場合のみ病院への搬送を許可する旨連絡あり、全員はできず施設内療養を継続
    • 入所者2人が陽性と判明
    28 4月28日
    • 入所者の2人が入院
    29 4月29日
    • 入所者2人が陽性と判明
    • 入所者1人が入院
    30 4月30日
    • 入所者の1人が入院
    31 5月1日
    • 入所者の2人が入院
    36 5月6日
    • 職員1人が陽性と判明
    37 5月7日
    • 職員1人が陽性と判明(最後の陽性者)
    39 5月9日
    • 保健所・高齢者福祉課職員・県衛生研究所のFETP研修を受けた職員の実地調査
    44 5月14日
    • 入所者の2人が入院。
    59 5月29日
    • PCR検査で、陽性者全員の陰性化確認が完了
    61 5月31日
    • 最終の陽性者の陰性化確認から14日間、新規発症がなければ収束と保健所からの指示あり
    72 6月11日
    • 最終陽性者の2回の陰性化確認から潜伏期の最大値である14日間の新規発症がないことを確認し、収束に至る

    対応の体制

    • 医療者も含めた以下の通り構成される感染対策本部を4/7に設置した。
      • 施設長(医師)
      • 事務長
      • 看護介護部の部長(看護師)
      • 支援相談室室長
      • 関連病院の感染症内科科長
      • 関連病院の看護部長
      • 関連病院の感染管理認定看護師

    情報の収集・把握・共有

    • 陽性(疑い)者対応・感染拡大防止に関する情報:
      • 感染対策本部に入っている関連病院の感染症専門の医療者から感染対応について指導を受け、PPE着脱など直接職員が指導を受けた。
    • 意思決定・共有・指示のための情報:
      • 随時チャットで病床状況、症状や検査結果を施設と関連病院とで共有し、処置や病床配置など細かな指示を受けていた。2日に1回のオンライン会議にて、見落としている点がないかなどの確認を行った。
      • 情報共有はスムーズにできていた。

    情報の周知・発信

    • 職員、関係機関等への報告・周知:
      • 職員への情報共有は看護部長が師長へ指示、伊藤施設長が医師として現場に入った際に直接指示した。
      • 電子カルテのお知らせ欄で状況と対応の共有、内部のイントラネットに経過を書いて出勤時に確認できるようにしていた。
      • 発症、検査のリアルタイムの状況を職員に共有していた。
    • 外部への情報発信:
      • 陽性者1例目が発生した時点で全ケアマネにFAXで通達、入所者が外に出ているということはなく施設内で完結していることから、その後の問い合わせはなかった。
      • 19日目、千葉県がクラスター発生を施設名とともに公表した。
      • HPに利用者様向けとして、19日目以降、陽性者の数、発症者の数を発信しており、どのフロアで何人発症しているかが公表されていたので、職員もその情報を見ていた。
      • 全老健経由で医療崩壊から介護崩壊へという文脈でテレビ取材の依頼に対応。

    利用者・入居者への支援と対応

    • 施設内療養の継続について
      • 保健所からの指導で、新型感染症なので入院適応であるが、すでに施設内に蔓延している可能性あり、病院のベッドの状況に余裕がなかったため、全ての入退所が禁止され、 施設内にて医療を提供する方針で対応するようにと言われる。
      • 今後陽性者が次々に出たら都度搬送を病院が受け入れることは難しいだろうという予想から社会的なトリアージとして、公衆衛生を考えれば施設内療養が妥当と考え、保健所の指導に従った。
    • 入所者家族への連絡
      • 陽性者発生翌日に利用者ご家族とケアマネージャーに、発生の事実と対応について文書を出した。
      • 感染が発生した4階はご利用者の在施設歴が長く、認知症のケアに家族が苦労していたケースも多く、ご家族からは陽性者発生について批難の声はなく、職員を気遣う言葉や差し入れで励ましを受けた。
      • 利用者家族と日常のケアでの信頼関係があり、職員がこれまでやってきたことの積み重ねで利用者家族との良好な関係が築けていることがわかった。
      • 利用者家族へは請求書の送付と合わせて5月第1週、6月第1週に状況報告、収束後にお知らせの手紙送った。
    • 利用者への対応
      • 陽性者が発生した4階は認知症のある方が入所しており、短期記憶が障害されている方が多い、不安を煽ってもそのあと介入できることが変わらないということから、あえて利用者には感染が発生していることを伝えなかった。一時的にショックを受けた、不安になった、という体験だけが残るのではないかと考えた。
      • 発生していない2、3階のフロアの利用者には、12日目に「施設内で感染症が発生しているため保健所の指示に従っている、このフロアでは発生していない、フロア間の移動は禁止」ということを伝えた。
      • 当時は新型コロナウイルスに感染した場合の治療や予後が今よりも不確かであったことと、仮に感染した場合も病院受診できなかったこともあり、不安だけを与えることのないように、あえて新型コロナウイルスと明言はしなかったが、個別で質問された場合は、新型コロナウイルスだと説明した。また、家族には文書で新型コロナウイルスだと説明していたので、家族経由で電話やオンライン面会を通じて認識された方もいた。
      • 少ない稼働職員での業務範囲を限定した。
        • 食事:[発生療養棟]15時のおやつを夕食時にあわせて提供した、11日目から収束までディスポーザブル容器を使用した。
        • 入浴:[発生療養棟]11日目から1ヶ月ほど入浴を控え清拭対応とし、その後に個浴を再開した。[発生していない療養棟]入浴回数を減らした。

    職員の状況とフォロー

    • 発生時の職員の反応
      • 病院に搬送せず施設内で陽性者に対応することを4階職員に伊藤施設長が伝えにいくと、頑張ってみていくしかないという雰囲気で、不満の声が上がることはなかった、社会的なトリアージとしての意義も説明し職員に話をした。
      • 職員に対しては、伊藤施設長が自身の葛藤や戸惑いを含め、社会的にも意義があるので一緒に頑張ってほしいと伝えた。
    • 職員の勤務継続について
      • 濃厚接触者の定義が変更になる前で、当時は発症日起算だったため、職員については定義上の濃厚接触者はいなかった。
      • 職員の感染を心配する声が職員、家族からあり、「濃厚接触者としてPCR検査はするが業務に支障がない」という扱いで継続して業務に当たっていた、当時は発症から感染力があると考えられていたので、症状がなければ勤務にあたれると判断していた。
      • 家族から出勤を止める声があがったり、家族への感染を心配する声があったり、職員からは「自分たちを隔離してほしい、泊まれるところを用意してほしい」という希望があった。
      • 職員寮の数室を仮眠室として用意、家族に感染を広めないための手順指示を配布した。
      • 何らか症状が出たらすぐに休める、PCR検査をすぐに受けられる体制があることを伝えたことが職員の安心につながった。
      • 常勤の職員はこの時点で離職はなし、出社拒否なし、派遣は引き上げになった。
    • 対応期間中の職員へのフォロー
      • 施設長から出される文書を読んで感染対策を知ったり、収束後は感染対策委員会が文書を出してくれたりして、総じて職員はコロナに関して冷静に受け止めてくれていた。
      • 科学的に知識を伝えることが大切だと思って文章にして共有、朝礼で話すようにしていた。
      • 回診のときにフロアで介護職、看護職の前でそのときのコロナの状況を話すなど情報共有を意識していた。
      • 収束までに時間がかかり、5月の半ばからは陰性化確認だけで、緊張感の高いフェーズではなかったので、メンタルが大きく落ち込む職員はいなかった。
    • 利用者逝去への職員の反応
      • 利用者が亡くなったあと、職員の落ち込みが大きかった、亡くなる直前までお話をされていて元気だった方、在施設歴の長い方が亡くなり、この感染がなければ亡くならなかったのではないかと考えられる方についてショックが大きかった。

    医療機関、保健所・行政との連携・調整

    • 保健所
      • 保健所とは電話とFAXでのやり取りであり、PCR検査 を行うための帳票や、発生届の作成、病状の問い合わせ の多くは医師が記入し回答する必要あり、毎日の対応に 疲労した。
      • 保健所とのやりとりは、9日目の最初の相談から、施設内療養を指示され、入院はできないと言われていたにもかかわらず、4月半ばになって、「家族の希望があれば入院できる」となった。発生当初、ご家族には病院と同等のケアが施設でできることを説明して納得してもらっていたのに、入院の希望有無を後から利用者家族に聞くことになり憤りがあった。
    • 行政
      • 20日目に市長がクラスターを公表し、翌日、twitterで「市民の命を危険にさらすわけにはいかないので施設の閉鎖を求める」と公表、23日目に市役所に呼ばれて市長名の閉鎖を求める文書をもらった。
      • 市長は病院搬送を求めていて、病院搬送できないのは保健所の指示だったので、市長と保健所長の情報共有がなされていなかった。
      • 市川市からの状況の問い合わせが多く対応が大変だった。
      • 市川市の福祉部とは関係を密に築き、千葉県の高齢者福祉課とも連携していて、好意的に物資の手配をしてくれた。

    関係事業所・委託先等との連携・調整

    • 7日目、発熱者が出て救急搬送された日から、清掃業者が来なくなった、契約主体の市川市から抗議するも、レッドゾーン以外の事務所など無関係な部分も含めて、施設全体を一切清掃してくれなかったので掃除機を購入し職員が清掃した。
    • 設備管理業者、クリーニング業者も撤退した。
    • 厨房の業者が病院、デイサービス、老健の3事業所に対して1箇所で食事を作っていて食事の提供は継続されたが、病院から食器をディスポにしてほしいと要望があり、当該病棟において、収束までの間食器をすべてディスポにした。

    感染防御資材等の調達

    • フェイスシールド、N95マスク、使い捨て食器を調達した。

    事業支出・収入等への影響

    • 支出:
      • PPE、マスクなどの資材、食器、法人内での派遣に関する人件費(関連病院からの看護師、終息後に応援に来た法人内の介護福祉士)、一次補正予算、二次補正予算で補填されて、かかりまし経費によって大きな負担はない。
    • 収入:
      • 11日目から75日目まで新規の入所ができなかったこと、4月後半からは事態の長期化に備え2階、3階の入所者を積極的に外に出して、2フロアで病床を組み直すことを保健所から提案され、他事業所に依頼し実施、120人くらい埋まっていたところから80人くらいまで減り、なかなか戻らず、1月第2週で110人まで戻った、月当たりの収入が5,000〜6,000万円のところ、1000万円程度のマイナスインパクトだった

    風評被害と対応

    • 被害の有無や状況:
      • 十分な観察期間をとって収束を迎えたものの、クリーニング業者や⻭科訪問診療など、「もう少し様子を見てか ら再開したい」と言われることが多く、従前の運営状態に まで戻っていない。新たな清掃業者と契約し、清掃員へ の応募があるも「市川ゆうゆう」の名前が出ると辞退して しまうことが続いている。(インタビュー当時)
      • 当施設に洗濯物を取りに来た利用者家族が、隣接する病院職員より近づかないようにと非科学的な差別をうけ、心を痛めた。
    • 対応:
      • 失った信頼を回復するために 地道に日々の運営を継続していくしか無いと考える。

    対応の振り返り

    • 施設内療養の継続について、老健で陽性者の治療とケアを行うことは厳しく、施設を守る意味では病院搬送をお願いしたいという思いと、社会的なトリアージの観点から施設内療養で役目を果たしたいという思いに葛藤があった。
    • 手指衛生の徹底はもっと強く言っておくべきだった。
    • 1人目が発症したあと、全員で集まって食事をする場所を使うのをやめることが決められず、認知症だから出歩いて出てきてしまうから難しいという声があり、1週間は集まって食事をとっていた、発症と同時に中止にして個室対応にすればよかった。
    • 毎日HPを更新したのはよかった、検査結果やその日にあったこと書いていた、ご利用者の家族や他事業所がそれを見て、助かったという声が多かった。
    • 最初の陽性者が個室を利用していること、発熱が分かってからは個室での隔離を実施、もともと寝たきりの方だったこと、熱以外の症状がなく飛沫感染のリスクが少なかったこと、発熱していると介護より看護の関わりが多くなり標準予防策が取れていたことが感染を拡大させなかったのことに寄与していると考えられる。

    陽性者対応の経験からの学び・教訓

    • 無症状・無自覚の者から持ち込まれる、無症状者からの持ち込みを防ぐことは難しいが、自分が陽性でも人にうつさないということはできる。
    • 発症日-2日はウィルスを撒き散らしている可能性が高いので、発症者をいかに早く正しく隔離できるかが重要、発症後の隔離では間に合わない。
    • かからない(3密、体調管理、PCR陰性でも安心しない)うつさない運ばない(自分が陽性だと思って行動、環境消毒)、ひろげない(利用者間の感染拡大防止、向かい合わない)
    • 疑わしいときは早期隔離、一例目を早く発見することが重要で、看護・介護職員の違和感を大切にする。
    • 同じ困難を乗り越えて組織としてまとまった、お互いに気楽に言い合えて指摘し合えるようになろうといっている、看護・介護がお互いに立ち入らない雰囲気があったが言い合えるような雰囲気になってきた、環境を清潔に保つことの重要性も伝わって実践されている。

    感染対応の経験を経て変更したこと・始めたこと

    • もともと利用者に触れる前は消毒をするなど、徹底されていないところがあった、「ここは介護の現場なんだから感染管理やってたら仕事できない」という声があり医療の視点から見たら不十分だったのが改善された。
    • 感染管理の看護師に2ヶ月に1回ラウンドしてもらい、消毒液の減り具合など見て客観的に評価している。
    • 水平感染が広がらないように部屋の配置と食事の場所の配置を合わせて区画を分けるなどの工夫をしている。
    • 持ち込まれるとしたら職員の可能性が高いので、科学的な情報を正しく伝えて、自分を陽性者だと考えて行動するように指導している。
    インタビュー担当:鎮目彩子・堀田聰子
    記事担当:鎮目彩子・大村綾香・堀田聰子
    医師からみたポイント:奥知久

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