リハビリホームボンセジュール三鷹 (介護付きホーム)

要約

入居者の発症から始まり、入居者と職員計13人の陽性者が出た有料老人ホームの事例。陽性、濃厚接触による自宅待機、勤務自粛によりホーム長、ホーム長補佐を含む職員42人(うち直接処遇職員29人)の約半数が施設を離脱、通常の運営を担っている主力を欠くところ、取締役、本部長、事業部長のマネジメント陣を含む計45人の応援部隊が入り、陽性者の入院対応、施設内の入居者のケアなどの業務に当たった。保健所からの指導を待たずにゾーニングを実施するなど、迅速な対応で感染拡大を防ぎ、感染の状況と入居者・職員の健康状態を把握、業務と役割分担を明確にし、応援職員の入れ替わりで日々変動するチームで対応した。感染対応と併行して自身が濃厚接触者で施設を離脱したホーム長が自宅から入居者家族、自宅待機中の職員をフォローし続けた。復帰してからも職員の不安に寄り添い、不安の原因に合わせて具体的な対策を取りながら、前向きに業務に取り組めるようそれぞれの目標設定を一緒に行い、クラスター発生時のリアルな経験を職員で共有するなど、感染対策への意識付けを継続して行っている。

医師からみたポイント

良かったこと
  • 発症から検査までに一週間のタイムラグがあり、利用者、スタッフを合わせた数が100名を超える大きな施設でありながら、陽性者率を12%程度に抑えています。
     要因として、以下のような事前の対応が功をそうした可能性が高いと考えられます。
      - 職員の出勤制限の基準を明確化(37度以上の発熱か、咽頭痛などの症状2つ以上など)
      - 職員は同時に食事をとらない(マスクを外す場に一緒にいない)
      - 入館、面会制限などの感染対策を含むBCPが作成されていた
  • 陽性者が判明してからの対応がとても迅速です。
      - 陽性判明日に法人本部から支援要員現地入り
      - 翌日には30名もの介護スタッフが他施設から現地入り、ゾーニング開始、保健所濃厚接触者確認開始
      - 状況が確認でき次第入居者のご家族へご連絡している
  • 異なるスタッフが入れ替わりながら支援に入りながらも、ミスをしづらくケアの連続性を保つ工夫があります。(直接ミーティングと社内SNSやインカムの活用、ケア対応者を限定する、など)
  • 状況が確認でき次第、市が情報公開しています。
  • 施設長さんご自身が自宅待機をしながら、電話等で自宅待機職員のメンタルサポートを行っている。
その他アドバイス
  • 第1波と第2波の間の時期で新型コロナを疑うまでに時間がかかったと思われます。
     1例目は流行状況に関係なく来ることもあるので、介護施設での発熱の場合にはトリアージレベルを上げて検査をするのがよさそうです。
  • ダイニングでの食事提供を中断するタイミングなど、施設が所属する自治体や保健所などから、適切な感染対策について助言できる医療者へのアクセスを提供していただけるとよさそうです。
  • 清掃業者の方たちの感染率が高かったとするデータもあるので、クラスター発生中に無理に頻度高くゴミの回収をお願いしなくてもよいと思います。必要に応じて回収の頻度を下げる、感染ゴミの出し方を医療者から共有してもらうなどの対応も必要かもしれません。
インタビュー実施日:2021年1月28日 インタビューご回答者:株式会社ベネッセスタイルケア
東京Ⅱエリア事業本部 事業本部長 川口直子さん
リハビリホームボンセジュール三鷹 ホーム長 中村一馬さん

法人概要

法人の経営主体株式会社ベネッセスタイルケア
法人全体の職員数18,053人(2021年3月)
法人全体の事業所数472施設(2021年9月)
実施事業訪問介護、通所介護、特定施設入居者生活介護、地域密着型通所介護、認知症対応型共同生活介護、居宅介護支援、介護予防特定施設入居者生活介護、介護予防認知症対応型共同生活介護、介護予防支援
ウェブサイトhttps://kaigo.benesse-style-care.co.jp/

拠点概要

所在地東京都三鷹市
実施事業一般型特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム)
ウェブサイトhttps://kaigo.benesse-style-care.co.jp/area_tokyo/mitaka/home_b-mitaka/facility
フロア 利用者数(定員) 職員数
一般型特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム) 地下2階、地上8階 64人(定員70人)(2020年8月) 42人(2020年8月)

新型コロナ陽性者等発生と対応の概要

陽性者数(うち死亡者数) 13人(入居者9人、職員4人)(死亡者:入居者1人)
濃厚接触者数36人(入居者18人、職員18人)
感染源・感染経路不明(施設内での感染経路は2階ダイニングエリアでの接触の可能性高い)
事業所が発生・収束とみなす日7/20~8/20(最終の発症から2週間経過で感染対応強化期間を終了(収束)。9/3まで保健所指示による健康観察期間とし段階的に通常運営に戻した)
発生から収束までの休業や利用制限なし
事業所外からの応援(法人内外)法人内から運営スタッフ12人、介護職30人、看護職2人、事務1人

陽性者発生以前の状況・感染対策等

  • 本事例以前の新型コロナにかかわる状況:
    • 法人内の別事業所で陽性者発生を経験していた。
  • 感染対策の特徴:
    • 職員は、37度以上の発熱か、咽頭痛など2つ以上の症状がある場合は休む、職員同士は休憩時間に同時に食事をとらない(マスクを同時に外さない)、などのルールがあった。
    • 利用者は通院などやむをえない外出は可能であった。
    • 利用者の発熱があった場合はその時点から居室対応する。
    • 一般的な感染対策および面会制限(15分以内で、居室ではなく指定の場所)を実施。
    • 以下に該当する者は、入館を禁止していた。
      • 37.0 度以上の発熱が認められた者
      • 体温にかかわらず、倦怠感や風邪等の症状がある者
      • 海外に渡航され、帰国されてから 14 日間が経過していない者
      • 報道等において集団感染が発生した箇所に来訪歴がある者
      • 新型コロナウイルスに罹患し、退院後 14 日間が経過していない者
  • BCP策定状況:
    • 法人内の別事業所での経験から、感染症についてもBCPが策定されていて、予防について、発生時についてマニュアルを作成していた。
    • 発生時に誰がどのように対応するか、非常時に行うケアの優先順位などが記載されている。
    • 感染症対策も行われていたが、職員みんなが「いつ自分のホームで起こってもおかしくない」とまでは思っていなかった。

新型コロナ陽性者発生状況と対応の経緯

病日 日程 項目 備考
1(第1病日) 2020年
7月20日
  • 入居者Aが37.0度の発熱
  • すぐに解熱したため、特段の対応をしなかった。陽性判明後、保健所により7/20の発熱が発症日と判断される。
2 7月21日
  • 職員Aが発熱
4 7月23日
  • 入居者Aが38.9度の発熱、施設から本部へ報告
  • 居室で過ごしていただく対応に切替、職員はマスクと手袋で対応。
  • 7/23から3回臨時でかかりつけ医の往診を受けており、PCR検査を受けるという判断には至らなかった
6 7月25日
  • 職員Bが発熱
  • 職員Aが解熱して48時間以上経過したため、勤務再開
7 7月26日
  • 職員Aが再発熱
8 7月27日
  • 入居者Aの発熱が続き、ホーム長が付き添い受診、インフルエンザの検査、PCR検査を受ける
10 7月29日
  • 入居者A、職員A、Bの陽性が発覚
  • 保健所へ連絡
  • 法人本部から事業部長、事業本部長、取締役、その他運営サポートの職員が現地入り、施設との情報共有
  • ホーム独自の判断でゾーニング開始(PPEの変更)
  • 運営要員として応援に入った職員計12人は7/29~(第1陣)、8/1~(第2陣)にわかれて現地入りし、8/10~8/20頃の期間まで滞在した(1人は9/3まで)
  • 陽性が発覚した時点で、最初の陽性者、その濃厚接触者と考えられる入居者(食事の席が同じ、アクティビティが一緒だった方)の居室を「レッドゾーン」としPPEを適用
11 7月30日
  • 保健所が来所し、濃厚接触者の洗い出し、ホーム長、ホーム長の補佐が濃厚接触者となり、自宅待機となる
  • 介護職の応援が30人現地入り
  • 応援の介護職員は、原則として7/30~9/3(第1陣)、8/1~8/20前後(第2陣)の期間現地に入り、五月雨式に解散した
12 7月31日
  • 入居者A、職員A、Bの濃厚接触者として入居者12人、職員13人にPCR検査実施
  • 職員13人が濃厚接触者となり自宅待機となる
  • 入居者家族への連絡
  • 事務職の応援が1人現地入り(~8/1まで※家族の反対により早期終了
)
  • 入居者家族への連絡は、面会予定者、急ぎ連絡が必要な方には7/29から連絡していた、全員への連絡は濃厚接触者が確定した後、7/31から開始
13 8月1日
  • 入居者、職員全員の検査をするため、入居者49人、職員26人に検査実施
  • 入居者3人の陽性が判明
  • 看護職の応援が2人現地入り(~9/3まで※内1人は~8/23まで)
  • ダイニングでの食事提供を中止し、全員居室配膳とする。
  • 入居者の発症から緊急搬送で病院に運ばれてそのまま入院になるケースが多く、少なくとも陽性が分かった翌日にはすべての入居者が入院できた
14 8月2日
  • 入居者1人、職員1人の陽性が判明
15 8月3日
  • 入居者4人の陽性が判明
  • 保健所が現地確認
16 8月4日
  • 前日の保健所指示により、、全館をレッドゾーンとし、常時ガウンとゴーグル着用することとする
17 8月5日
  • 市が情報公開
18 8月6日
  • 職員1人の陽性が判明
20 8月8日
  • 8/6に陽性判明した職員の濃厚接触者として6人の入居者と発熱等の症状のあった4人の入居者のPCR検査実施
22 8月10日
  • 8/8の検査結果は全員陰性と判明
25 8月13日
  • 8/1〜8/3の間に陽性が判明した入居者8人、職員1人については、施設、保健所ともに濃厚接触者を洗い出せる状況になかったため、8/13に8/2以降の陽性者5人の濃厚接触者に当たる職員5人にPCR検査を行った
26 8月14日
  • 8/13の検査結果は全員陰性と判明
29 8月17日
  • 入居者の退院開始
  • 濃厚接触者、陽性となった職員も順次復帰
32 8月20日
  • 最終発症から2週間経過し、保健所による感染対応強化期間終了(収束)
  • 引き続き健康観察期間として保健所の指導により、座席数を減らしてダイニングでの食事提供を再開、浴室で複数の入居者が重ならないようにオペレーションを変更
  • 全館をレッドゾーンとしたのは8/20までであるがその後も有症者はレッドゾーンとして対応
46 9月3日
  • 健康観察期間終了、以後通常運営
  • ゾーニングの解除

対応の体制

  • 法人本部との連携
    • 法人本部から取締役、本部長、事業部長2人がマネジメントとして現場に入った。
    • 事業部長の1人が感染対応、保健所との連携を行い、もう1人が行政対応、ご家族窓口、通常の運営業務を担当した。
  • 事業所の役職者の状況
    • ホーム長、ホーム長補佐が濃厚接触者となり7/30から自宅待機。
    • ホーム長は自宅から濃厚接触者リストの作成、入居者家族への連絡、濃厚接触者になり自宅待機になった職員の健康観察とフォローを担当した。
  • 応援職員について
    • 法人内から運営スタッフ12人、介護職30人、看護職2人、事務1人の応援を派遣。
    • 応援のメンバーは、別本部、別事業部からそれぞれ出す人数を決めてリスト化、その中で経験が豊富で指示がなくて動ける人、通勤の負荷が低い人、休みの条件が少ない人を選んだ。
    • 運営・事務のサポートに入った人には、物品管理や館内消毒などの感染対応および、日常のホーム運営全般について、担当する業務を割り振った。
    • 発生から8/10までは日勤を3人、夜勤を1人増やし、8/11から8/21までは夜勤を通常通りに戻し、8/22以降は通常の稼働に戻した。

情報の収集・把握・共有

  • 発熱や陽性発覚時の報告ルールがあり、発熱者がでた際は社内イントラで報告し、且つホーム長から事業部長へは電話連絡にて報告した。
  • 保健所の現地指導でゾーニングのやり方や具体的な感染対応の情報を得た。
  • 違うメンバーが入れ替わり立ち替り応援に入るので、毎日朝、夕に集まって情報共有し、その日にやってほしいことを伝えて指示を出し、業務中はインカムで全員に指示を共有していた。
  • 社内SNSを利用しており、通常は休みの日にはアクセスできない設定にしているが、この期間は常にアクセスできる状態にして、応援メンバー含め勤務している職員にも、自宅待機の職員にもホームの状況をタイムリーに共有した。

情報の周知・発信

  • 外部への情報発信をホームページで4回(7/31、8/4、8/21、9/6に更新)行った。
  • 8/5に三鷹市がホームページに掲載。

利用者・入居者への支援と対応

  • 期間中の対応
    • ゾーニングは、当初、濃厚接触者と症状のある方の居室をレッドゾーン、透析等で注意が必要な居室をグリーンゾーンとし、レッドゾーンの対象者が約20人弱であった。応援の職員でレッドゾーンに入るチームを作り対応し、対応する利用者を限定することでケアを覚えやすくした。
    • 8/4以降、保健所判断により、内階段がなく階の移動に全員が同じエレベーターを使用するしかないこと、動線の切り分けが難しいこと、利用者の行動を制限し続けることが困難であることから、入居者全員を濃厚接触者、全館をレッドゾーンとした。それまでのレッドゾーン対応チームをなくし、日々、今日は誰がどこに入るかを決めて対応した。
    • 入居者家族へはホーム長、事業部長から電話連絡した。発生から健康観察期間の終了まで計5回、全家族へホームの状況連絡をした。
    • 入居者全員は居室で過ごしていただいた。
    • 発生から数日は、濃厚接触者以外で、転倒の危険や飲み込みの不安のある方については、ダイニングでの食事提供を継続していたが、感染拡大防止のために途中から食事は全て居室対応に切り替えた。
    • 入浴を停止、行政とも相談の上、週に1回の清拭とし、8/13から週1回の入浴介助に戻した。
    • 食事は使い捨て容器を使用した。
    • 最後の陽性者発生から2週間の警戒期間をもうけ、それからさらに2週間を健康観察期間とした。健康観察期間が終了するまでの間、ダイニングの座席減らすなどの対応、8/21にダイニングでの食事提供を始め、8/24に、入浴週1回、清拭週1回と決めた。
  • 収束後の対応
    • 収束後、各入居者のADLのアセスメントと、それに合わせた環境の整備、食形態の点検を2ヶ月くらいかけて行った。
    • 現在(1/28時点)は日常が戻ってきているが、ADLが下がり、認知症状も悪くなり、転倒の事故が多くなった。

職員の状況とフォロー

  • 発生当初の様子
    • 職員は連絡を受けて冷静に受け止めている様子だった。
    • 濃厚接触者の職員は判明次第、すみやかに自宅待機とした。
    • 施設内に陽性者が出たことで「出勤を控えたい」という意志があったのは、受付、送迎、清掃の職員など、間接業務の職員のみだった。
  • 期間中の対応
    • 陽性になった職員、濃厚接触者として自宅待機していた職員、出勤を控えていた職員に対してはホーム長が頻繁に電話連絡し、健康観察と合わせて精神面のフォローしていた。
    • ホーム長自身が濃厚接触者として自宅隔離の中、入居者の家族と職員のフォローに当たっていたこと、施設を離れている間にもたくさんの職員が現場でフォローしてくれていることが職員の心の支えになっていた。
    • 自宅待機期間が終了した職員が復帰するときには、業務のやり方が明確に決められていて現場に戻りやすかった。入居者と職員の体調確認、前日の状況とその日にやる業務内容、施設の職員と応援職員の役割分担と動線を毎朝ミーティングで確認していた。
    • 濃厚接触者だった職員が順次戻って来次第、応援職員も元の所属に戻した。
  • 職員の復帰に向けたフォロー
    • 自宅待機の期間が終わるときに、事業部長がそれまでの経緯、ケアの内容、気をつけることを面談で伝えた。
    • 陽性者対応を行った職員と、濃厚接触者となり自宅待機だった職員では感染症に対する危機感が違った、自宅待機だった職員には感染管理の技術を習得できるよう再教育をしてから現場に戻ってもらった。
    • ホームに残った職員、応援の職員でやってきた感染予防策を、メンバーが変わっても継続できるように、意識付けと技術確認を行った。
    • クラスター発生後に入社した職員とは経験を共有していないことや、在籍していた職員も関わりがそれぞれ異なることから、経験した者がリアルに伝えることで意識を合わせている。
    • 社内のルールで、応援に入って陽性者・濃厚接触者に接した職員は、2週間は元の勤務先に出勤しないルールとなっている。その間、有給休暇を使うか、休業補償か、このホームで間接業務か、を選んでもらった。
    • 復帰にあたり、または復帰してから不安のある職員に対しては、何に不安を感じているのかをよく聞いて明確にする、不安の内容に合わせて、どうしたらそれが解消できるか考える、考えすぎると煮詰まってより不安になるので、不安を聞いた上で、やるべきことも明確に、目の前にあることを明確にする、前向きになれるような目標設定をする、などの対応が必要である。
  • 収束後
    • クラスターを経験したのちに日常を取り戻していくプロセスは、時間が必要。
    • 業務が有事の感染対応から通常の業務に戻っていくことで精神的にもリセットされていく。
    • 入居者の日常のケアが業務の中心に戻ってくると「日常」という感覚になる。
    • クラスター発生時も通常業務はあるので、業務過多な状態は2ヶ月ほど続き、滞っていた業務を少しずつ終わらせ、今まで通りの仕事をしていることに気づき精神面でも楽になっていく。

医療機関、保健所・行政との連携・調整

  • 保健所
    • 保健所はパートナーとして一緒に伴走してくれた。土日も夜間も電話がつながる状況で、ホームの状況も理解した上で、感染対応のやり方、ケアに関する指示があった。
  • 行政など
    • 行政のホームページでの情報掲載に関して電話確認が数回あった。
    • 警察から「風評被害など何かあったら声をかけてほしい」と連絡があった。

関係事業所・委託先等との連携・調整

  • 委託事業者の判断により、ゴミの回収をしてもらえなくなり、ホームに1週間以上置いておかれた。通常回収でよいという市の見解を伝えることで、最終的に回収に至った。
  • 清掃業者はこの期間サービス停止、厨房は外部委託だがサービスは継続された。

感染防御資材等の調達

  • 法人での一括調達のため現場で困ることはなかった。

事業支出・収入等への影響

  • 支出:
    • 感染対応の備品は通常月と比べて50万円くらい高かった。
    • 強化期間手当(危険手当)は、この期間にホームで働いた人全員で1日5,000円、合計600万円ほどになった。
    • かかりまし経費で賄えない部分はほぼない予定。
  • 収入:
    • コロナ感染後にいったん退院はされたものの、ご状態の変化によりご退去になった方もいらっしゃった。

風評被害と対応

  • 被害の有無や状況:なし

対応の振り返り

  • 全館レッドゾーンにしたのは気をつけるところが明確になりよかった。
  • 全員の食事を居室対応にすることまで数日かかった。現場の介護職が無理だと、転倒、飲み込みが不安、窒息するかもしれないという声を聞いて、濃厚接触者以外でリスクのある入居者については、ダイニングでの食事提供を続けていたが、居室での提供にした上でどう介助するかを陽性判明のタイミングで決めればよかった。

陽性者対応の経験からの学び・教訓

  • 入居者についても職員についても発熱を見落とさず、いかに早く1例目の発症から対応し、感染拡大を防げるかが重要。
  • 日常業務の中で、入居者の体調管理と感染対策の両方をやらなければいけない、入居者が疾患の特性で熱の出やすい方であったとしても、発熱時は感染症も疑ってどちらの場合にも備える必要がある。
  • 陽性者が出たときに濃厚接触者に該当する職員が多いとホーム運営が難しくなるので、職員が濃厚接触者にならない工夫が必要。
  • レッドゾーンへの恐怖心、自分も感染するのではないかという不安は職員にあるが、知識を得て一つ一つ理解して対処方法が分かることで安心できる。
  • 管理職が濃厚接触者となり施設を離れ、自宅で業務に当たらなければいけないことは起こり得るが、オンラインツールを使って情報共有することと、やるべきことを明確に役割分担することで施設外からでも共に対応することができる。

感染対応の経験を経て変更したこと・始めたこと

  • 月に1回の運営ミーティングで、感染対応の状況を確認する。
  • 発熱など症状が見られたときは、フェイスシールド、ガウンをして対応。
  • 法人として、職員の濃厚接触者を出さないために、通常のケアにおいても、食事介助と口腔ケアの際はマスク、手袋、フェイスシールドまたはゴーグル、看護師の吸引のときはガウンとフェイスシールドを使っている。
インタビュー担当:堀田 聰子・奥知久・鎮目彩子
記事担当:鎮目彩子・大村綾香・堀田聰子
医師からみたポイント:長嶺由衣子

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