新たな生活とケア
感染予防をはかりながらも、自粛一辺倒でなく、利用者・入居者や職員等のQOLの維持・向上に努めている取組みを介護・福祉、医療職にうかがいました(15事例)。
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「支えられる」から「支える」へ~認知症高齢者“Be supporters!”への道
富山県富山市の社会福祉法人射水万葉会 天正寺サポートセンターでは、2020年度より富山市が推進する“「認知症」×「ハタラク」実証チャレンジモデル事業”に参画し、「天正寺笑ーる(えーる)」のネーミングのもと、利用者が「ハタラク」ことにより社会参画の機会を得るという取組みを行っている。
コロナ禍の2020年は、職員と利用者が一緒になって手作りマスクやマスクピアス作りに取り組んだ。さらに年末には、地元のプロサッカーリーグ「カターレ富山」応援プロジェクトという支えられる側のお年寄りが、サッカーリーグのサポーターになって支え手に回る企画を実現した。サッカーファンもほとんどいないなかで、カターレ富山のサポーターとしての活動は始まったが、12月のオンライン観戦&応援パーティー、1月のカターレ新年会を経て、皆がこの活動にはまり、カターレ富山の熱烈なファンとなることでコロナ禍においても、利用者の楽しみが増えたばかりでなく、活動量や意欲が上がり、ADLの改善も見られた。
会津磐梯山の見える手作り“ハーモニー神社”で初詣
福島県耶麻郡猪苗代町にあるハーモニー猪苗代では、毎年恒例の鐘つき堂への初詣が中止になったことを受け、何かできることはないかと考え、施設内に手作り神社を設置することにした。いつも何かを作るという時はお客様(利用者)と一緒に作業することが多いのだが、今回は“お客様へのサプライズ企画”にして、気付かれないように秘かに準備を進めた。
大晦日の前日、福島県では“宝の山”と言われる会津磐梯山が見える廊下に、手作りの「ハーモニー神社」を設置した。お客様も職員も感染対策に留意しながら、順番に参拝することができた。何より、新しい年を迎えて自分や家族の健康と幸せを祈る場を作ることができたのは、お客様にとっても職員にとっても喜ばしいことだった。
同事業所は、“やってみんべ”という法人全体の方針により、お客様が喜んでくれること、お客様が楽しめることはどんどんやってみようと、現場レベルで様々なアイデアを形にしている。やってみるからこそ、その手ごたえや反省が生まれ、また次にやりたいことのアイデアも湧いてくる。「コロナを言い訳にはできない」と、自粛一辺倒になるのではなく、お客様の豊かな暮らしの実現を目指して取り組んでいる。