新たな生活とケア

感染予防をはかりながらも、自粛一辺倒でなく、利用者・入居者や職員等のQOLの維持・向上に努めている取組みを介護・福祉、医療職にうかがいました(15事例)。

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エビデンスに基づく利用者参加の感染対策で、できることの選択肢を増やす

要約

有料老人ホームや特別養護老人ホーム、在宅サービスを含めた高齢者複合施設である神奈川県藤沢市の聖隷藤沢ウェルフェアタウンでは、新型コロナの特徴や有効な予防策をよく理解することで、早い時期から、地域の感染状況に応じて対策や制限に緩急をつけ、利用者の楽しみや生きがいを取り戻すための取組みをしている。

ここでは、生活の自粛、活動の抑制ありきではなく、「どうしたら、感染せず、利用者の楽しみを続けてもらえるか、その機会を継続的に提供し続けられるか」が徹底的に考え抜かれており、施設側が感染対策を講じるだけでなく、利用者が楽しみながら感染対策を習得できる仕掛けも考慮されている。また、感染状況から中止または縮小の判断をせざるを得なくなった場合にも、可能な範囲で「いいコト探し」による代替策を講じることを心掛けている。

介護の現場でゼロリスクは有り得ないこと、もし、誰かが感染したとしても、責めたりしないで、皆で支えあうことの重要性を繰り返し職員に伝え、平時から職員の安心とストレス軽減に繋がる職場環境と文化の醸成を目指している。

「どうしたらできるようになるか」看護師が素案を出し仲間で行動に落とし込む

要約

神奈川県横浜市の介護付有料老人ホーム「カーサプラチナみなとみらい」では、新型コロナにかかわる法人本部から示される大まかな方針(外部との接触は断つ等)に基づき、現場に対応の具体的な方針決定の裁量があることで、利用者の生活や楽しみを守る工夫が最大限できている。まずは看護師の小谷さんが素案を出し、現場の最前線の仲間たちで具体的にどうしたらよいかを行動レベルに落とし込む協働がそこにはあった。特に、つながりを断たない工夫、楽しみを奪わない工夫に重点を置かれた。

日々の関わりのなかで本人の意向や価値観を知ることができる職員は、日頃から本人と家族を繋ぎながら、ACPを積み重ねるサポートをしている。このことは、コロナ禍で、ますます重要になってきている。

できないと諦めたら、そこで思考が止まってしまう。どうしたらできるようになるかを考えるようにしていくことが重要。少しずつ失われていく機能、限られた時間中でも、利用者がより自分らしく生きるためにどうしたらよいかを常に考えていくことで、良いケアが生まれる。

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