みんコロラボ 〜みんな、新型コロナ対策どうしてる?〜

陽性者・クラスタ―対応

新型コロナの陽性者が発生して対応した事業所の経験と教訓を、施設長・管理者や現場職員にお聞きしました(22事例)。公開情報を整理した4事例とあわせ、順次公開します。(現在 19/26事例 公開)

市川ゆうゆう(介護老人保健施設)

要約

介護老人保健施設で入所者18人・職員5人が陽性となり、入所者5人が亡くなったクラスター事例。陽性者が判明した時点で、保健所から病床逼迫のため施設内療養の指示を受けた。発生当時は1日のPCR検査件数も制限されており、検査と陽性者隔離を繰り返し、22日目にようやく発生者のいるフロアの全利用者と職員に一斉検査が実施できた。老健で陽性者の治療とケアを行うことは厳しく、混乱と葛藤があったが、関連病院の感染症専門の医師・看護師を含む対策本部を早期につくり、施設長から社会的トリアージの意義、科学的に根拠のある情報を都度共有して冷静な対応に努め、離職者を生まずにケアを継続した。

四葉(特定施設入居者生活介護 有料老人ホーム)

要約

医療機関を退院し入所した入居者が陽性であることが判明し、後に他1人の入居者が陽性となった。他介護施設でのクラスター発生の事例からの学びを生かし、保健所の介入が始まる前から感染対応を徹底し、感染拡大を防止した。職員に陽性者は出なかったものの、全職員27人中20人が自宅待機となり、法人内の別事業所から8人の応援を得た。50人の入居者のうち、陰性ではあるが健康観察が必要な入居者20人に感染対応しながら対応した。
運営管理部部長のリーダーシップで全体の指揮が取られ、管理者が現場の声を聞きながら職員と一緒に入居者をケアし、法人代表が職員家族への電話フォローや近隣住民のフォロー、県との連携に当たり、法人内の他事業所の管理者も協力し、法人が一体となって対応した。

リハビリホームボンセジュール三鷹 (介護付きホーム)

要約

入居者の発症から始まり、入居者と職員計13人の陽性者が出た有料老人ホームの事例。陽性、濃厚接触による自宅待機、勤務自粛によりホーム長、ホーム長補佐を含む職員42人(うち直接処遇職員29人)の約半数が施設を離脱、通常の運営を担っている主力を欠くところ、取締役、本部長、事業部長のマネジメント陣を含む計45人の応援部隊が入り、陽性者の入院対応、施設内の入居者のケアなどの業務に当たった。保健所からの指導を待たずにゾーニングを実施するなど、迅速な対応で感染拡大を防ぎ、感染の状況と入居者・職員の健康状態を把握、業務と役割分担を明確にし、応援職員の入れ替わりで日々変動するチームで対応した。感染対応と併行して自身が濃厚接触者で施設を離脱したホーム長が自宅から入居者家族、自宅待機中の職員をフォローし続けた。復帰してからも職員の不安に寄り添い、不安の原因に合わせて具体的な対策を取りながら、前向きに業務に取り組めるようそれぞれの目標設定を一緒に行い、クラスター発生時のリアルな経験を職員で共有するなど、感染対策への意識付けを継続して行っている。

拠点E(特定施設入居者生活介護 有料老人ホーム)

要約

入居者と職員合わせて陽性者68人のクラスターとなった有料老人ホームの事例。職員1人の陽性が判明し法人本部へ報告された時点で施設内に体調不良者が複数いる状況で、直ちに危機対策本部を立て翌日から現地入りした。埼玉県コロナ対策チームCOVMATも施設内に入り陽性となった入居者50人の入院調整を実施、50人すべてが早急に入院となった。4日目に、入居者と職員全員を濃厚接触者としたことから、施設の全職員が自宅待機となり、法人内他施設からの応援職員で入院対応と施設内の入居者対応を実施した。職員の復帰に向けて、経緯と対応を共有するオリエンテーションを実施、ほとんどの職員が復帰する日に合わせ再出発式を行った。個別にホーム長・副ホーム長との面談も並行して実施し、産業医による面談と専門家のメンタルサポートも実施している。

平成デイサービスセンター羽ノ浦(通所介護)

要約

特養・ショートに併設するデイサービスでのクラスター発生事例で、利用者9人、職員2人が陽性となった。 近隣市のグループ病院敷地内の軽費老人ホーム入居者でデイ利用者が発熱、「発症者が出たら速やかに看護師が急行して抗原検査をする」というグループのルールに従い検査を実施、陽性者を早期発見できた。 病院副院長が指揮を取り、明確な指揮命令系統の中、軽費老人ホーム、特養、デイサービスが迅速に対応し、感染拡大を防止した。日頃からのグループ内の協力と信頼関係が基盤となりチームワークが発揮され、収束後はグループ全体で感染ラウンドを実施し、頭で理解した感染対応が現場で実践されているかを常に確認し運営している。

拠点D(通所介護等)

要約

通所介護・訪問介護・居宅介護支援の3事業の拠点で、複数の職員の発熱、常勤職員の陽性判明を皮切りに職員13人・職員家族16人の集団感染となった(利用者への感染なし)。通所介護は休止、訪問介護は非常勤ヘルパーを中心に、一部の利用者へのサービス提供を継続した。
平時から法人本部と拠点、各事業所の管理者と職員、職員間の関係が良好で、法人本部のエリアマネジャーと事業所管理者が毎日電話で職員や家族をフォローし、職員と共に事業再開計画を協議、再開前には非常勤ヘルパー全員を集めて経過報告会を実施した。利用者や地域との信頼関係も厚く、収束後は利用者全員が戻ってきている。
経験を活かし、早期発見に向けた休日も含めた職員の健康観察、感染予防を目的とする事業所環境改善など、さまざまな工夫がなされている。

拠点B(小規模多機能型生活介護)

要約

最初の陽性者は、発熱確認から、解熱、発熱を繰り返していたが、当該事業所の通所利用は継続していた。結果、濃厚接触者数は、27人(職員12人、利用者25人)と保健所より認定され、検査の結果、8人(利用者7人 職員1人)の陽性が確認され、クラスター事例として保健所から公表された。当初、公表を逡巡したために誹謗中傷に晒されたが、丁寧に近隣への説明を行い、地域包括、地域のケアマネ、区長、民生委員等の人的資源の協力によって、信頼を取り戻していった。事業所として、最初の陽性者の発熱時から積極的に検査に結び付けることができなかったことから、感染防止の空白期間が長く、クラスターを招いたと考えており、初動の重要性を再認識した事例であった。

ソフィアメディ株式会社陽性者対応チーム(訪問看護)

要約

法人として82の事業所をもち、主に訪問看護を展開するソフィアメディ(職員数約1,400人)は、本社に陽性者対応チームを独自に設置し、陽性者に対する訪問が必要なケースについては、同チームの看護師が専属として訪問対応し、感染を最小限に抑える対策をとっている。各ステーションの利用者、職員、家族の感染状況を、掲示板を利用して集約し、訪問が必要な際には陽性者対応チームがステーションと関係各所の調整、情報収集、訪問を担い、陰転後に各ステーションへ引き継ぐ。実際の訪問では、生活援助を担っていた同居家族が陽性となり入院したことで一部の生活支援を行わなければいけなくなるなど課題があったが、担当していた看護師同士の信頼関係を基盤に、各ステーションの利用制限や新たな感染者を出すことなく収束となった。陽性者対応チーム設置のための財務コストや、小規模な事業体でも同様の措置をできるようにすることを考えると、法人内のみならず地域で連携し陽性者に対応していく専門チームを設置する必要性も示唆された。
※内容は2021年当時のものであり、現在の状況とは異なります。

ソフィア訪問看護ステーション元住吉(訪問看護)

要約

当初、本部に陽性者対応チームを設置、同チームが中心となって陽性者に対応を推進する方針をとっていたが、最終的にその機能を各ステーションで担えるようにするという目標があった。本事例は、利用者の要介護の家族が陽性となり、担当ケアマネジャーから対応の打診を受けたステーションが、ステーション内で収束させたケースである。資材備蓄や検査環境が整い、法人としての陽性者対応の知見が蓄積・共有されていたこと、ステーションにおいて日頃から感染対策を着実に行い、本音を話し合える環境を作っていたことなどから、スムーズに対応することができた。
※内容は2021年当時のものであり、現在の状況とは異なります。

ツクイ・サンフォレスト松山(通所介護、サ高住、居宅介護支援、訪問介護)

要約

クラスターが発生した他事業者のショートステイを利用したデイ利用者が当該事業所の運営するデイサービスを利用して感染が拡大した。当該利用者がデイサービスを利用した翌日から事業所判断で入居者全員のケアを居室対応とし、更にその翌日からデイサービスを休業する措置をとった。保健所との情報共有したうえで、指示によって、職員のPPE着用、他サービスとの往来制限を行った。 濃厚接触者、同一建屋の他事業の利用者と職員に対するPCR検査の実施等、必要な措置は迅速に行ったが、感染は12人に拡がった。途中、病床数が逼迫し、施設内での療養が必要となり休業中のデイスペースを隔離病棟として対応した。 感染可能性の連絡を受けた初日から迅速に対応することの必要性、近隣の介護事業者と日頃から情報共有をし、感染拡大を最小限に抑える必要性を学びとしている。

四丁目の家(グループホーム)

要約

入居者2人、職員2人が陽性となったグループホームの事例。検査結果や体温だけで判断せずに、全身の様子から発症の兆候を見つけたらすぐに隔離する対応が取られ、施設内の感染拡大を防いだ。かかりつけ医とバイタルなど入居者の情報を共有しオンライン診療を受けられる環境を作ったことが早い対応を可能にし、職員の安心感を得られた。陽性になった職員以外にも体調不良を訴える職員がいて、人手が足りず、法人内他事業所から応援に来てもらった。保健所の協力で、施設内で職員と利用者全員のPCR検査を実施できたことも大きい。保健所、行政、入居者家族など外部との連携を宮川施設長が一手に担ったことで一貫して対応できた。

拠点C(訪問介護)

要約

訪問介護事業所で職員、利用者、利用者家族のうち11人が陽性となった事例。利用者の陽性判明から始まり、職員1人の陽性が判明後、すぐにPCR検査で残りの職員全員の陰性を確認し、訪問を継続できる体制を作った。陽性となった職員が訪問した利用者とその家族にも早急にPCR検査を実施、陽性となった利用者宅へは、訪問する職員を固定しフルPPE着用、介護内容を必要最低限に調整の上で訪問を継続した。平時から職員への理念浸透に力を入れており、今回の対応においても、利用者のそれぞれの状態と暮らしに合わせ、陽性となった利用者にも、その他の利用者にもサービス提供を継続することができた。

ツクイ札幌山鼻(サ高住、グループホーム、通所介護、居宅介護支援、訪問介護)

要約

グループホームの入居者が発熱に端を発して、15人の陽性が確認されたグループホームの事例。発熱確認の翌日、陽性が確認され、併設のデイサービスの閉鎖、職員の部署間の移動の禁止等の措置をとったが、同日に実施した入居者、利用者全員のPCR検査によって入居者6人、職員3人の陽性が新たに確認され、最終的には15人の陽性が確認された。同法人では以前からPPEの準備、事前の学習会等の準備を行っていたが、感染はシミュレーションをはるかに上回った。しかし日頃から応援職員をリスト化しており今回もグループ内から派遣され、手薄となった事態に対処できた。最初の陽性者の発熱を確認した時点で導線管理などを徹底できれば感染を抑制できたのではという反省があるものの、入居者と職員全員を対象としたPCR検査を早期に実施できたことで人員配置などを迅速に決定でき、認知症入居者の逆搬送などにも対応できた。

レーベンはとがひら(特別養護老人ホーム)

要約

滋賀県甲賀市にある職員88人の特別養護老人ホームで8月に職員と利用者を合わせて合計31人の陽性者が発生した。感染経路と最初の陽性者は不明、発生当初、体調不良を理由に休む職員が数人おり、その内1人の職員が受けた抗原検査にて陽性が判明した。翌日までには、全入居者(抗原検査で陰性者含む)及びショートステイ(SS)利用者にPCR検査を実施し、事業所内に併設されるSSでは新規利用者の受け入れ停止、デイサービス(DS)は営業停止の措置を取った。発生フロアの担当介護職、看護職が全員出勤できない状況の中、同法人内からの応援部隊と、業務の一部縮小によって人員不足に対処、DMATのサポートを受けて目の前の陽性対応を行いながら、陽性対応後の立て直しに向けて施設長を中心に取り組んだ。出勤停止および出勤拒否の職員に対し、出勤再開の話し合いを進め説明会なども実施し、大半の職員は復職を表明し、順次現場に戻ることができた。ゾーニングを段階的に解除し、他施設からの応援派遣が終了し、サービス再開を迎えた。

イマジン(介護老人保健施設)

要約

東京都八王子市にある職員数約90人の介護老人保健施設で、11月に職員1人の陽性を確認した。同日中に感染症委員会を発足、陽性となった職員の担当していたフロアを閉鎖とし人の行き来を絶った。感染症対策をリードしていた副施設長の働きかけて平時から感染予防が徹底されていたこともあり、陽性者は1人に抑えることができた。最初の職員の陽性確認から2日後、検査を受けた全員の陰性が判明し、濃厚接触者については14日間の業務停止を執行した。該当職員の業務停止期間を経て濃厚接触者および陽性者の業務復帰により収束した。

希望の杜(介護老人保健施設)

要約

入所者1人、職員1人の陽性者発生に対応した介護老人保健施設の事例。他法人での陽性対応の応援を派遣した経験から、陽性者の人数が少ない場合でも対応中は通常の1.5倍の人員が必要という経験値があり、応援体制の構築、発生時のシミュレーション(入所者と職員の行動歴確認、ゾーニングなど)、PPEを着用した訓練が行われており、実際の対応に活かされた。認知症の方が陽性者となった場合の療養のあり方を外部の有識者とともに検討し施設内療養を実施した。併設の通所サービスは休業、休業期間中に必要な代替サービスを全利用者に確認し、通所職員により訪問入浴と訪問リハを提供した。

ゆうあいの里(小規模多機能型居宅介護)

要約

北海道十勝地方の人口約7,000人の本別町で、小規模多機能の利用者が第1号感染者となった。通いの利用中に発症、即座に検査・陽性判明して職員・管理者会議を行い、保健所の指導に先だってゾーニングやPPE使用見直し等を開始、同日中に出勤中の職員の陰性確認を完了した。

速やかな対応により、発症4日目にはすべての職員と利用者の陰性確認が行われ、泊まりの利用者及び濃厚接触となった利用者への訪問の支援を継続、通いの休止も5日間に留めることができた。

職員・管理者間の連絡・情報共有や意思決定に加え、利用者支援においてもオンラインが効果的に活用されたことも特徴である。

でぃぐにてぃ新宿(訪問介護)

要約

東京都新宿区の訪問介護事業所(職員数16人)で、利用者でもある代表が感染し、出勤があった14人の職員のPCR検査陰性を確認したものの、8人が濃厚接触者に該当したことから、2週間は原則休業となった(代行訪問や家族対応が難しかった一部は代表と接触していないヘルパー1人が訪問を継続)。

陽性者(代表)への訪問は発症以降停止し、入院まで家族対応となったが、退院日の夜から再開。この経験を経て、発症~PCR検査結果待ちの間、また濃厚接触/陽性(独居の場合)となった場合にも、必要に応じてPPE着用で訪問を継続するよう方針を切り替えた。実務的にも精神的にも要となる存在であった代表の感染は、管理者を含む職員にとって困難な経験だったが、コアメンバーの緊密な連携と振り返り、オンラインでの職員会議やアンケート、これに基づく社内SNSでの情報共有・発信、職員による再開準備グループの組成等を通じてのりきり、結果的に組織の成長につなげることができた。

拠点A(サービス付き高齢者向け住宅等)

要約

サ高住入居者の発熱に始まり、入居者・併設の通所利用者・職員14人が陽性となった。出勤可能な職員が大幅に減り、管理者もホテル療養となるなか、陽性者の施設内療養を迫られた。

当初勤務継続できた職員が4人となり、医師の指示を実行できる看護師も足りず、法人内の別事業所から順次応援職員が来て、陽性者への対応と非感染者へのケアが徐々に行えるようになる。拠点が離れていて通常は顔を合わせることがないメンバーで、声を掛け合って状況を立て直した。

通所再開前の職員ミーティングが拠点Aの職員の職場復帰の後押しとなり、応援に入った職員は、法人内の各拠点で経験からの学びの実践・共有に努めている。

松戸陽だまり館(特別養護老人ホーム等)

要約

特養職員の発症から職員3人・入居者2人の陽性者が出て、約1ヶ月にわたり併設の通所及び配食サービスを休止したものの、陽性者以外の職員の業務離脱はなく、入居者へのケア内容の大きな変更は不要だった。

2020年春に別拠点の職員が濃厚接触者となった経験から、法人として行動指針や陽性者発生時の対応リスト、情報共有のガイドラインを定めるなど十分な感染対策・有事の備えがなされており、保健所が濃厚接触者の職員も勤務継続してよいとみなした。

陽性となった職員が担当していた2ユニットをレッドゾーンとして感染拡大防止に努め、行政に働きかけて職員・入居者全員のPCR検査を公費で実施できたことも安心に寄与した。

感染対応の経験を経て、職員/入居者等の体調不良の情報を早くつかむ工夫、嘱託医との陽性者発生時の対応に関する確認の徹底等がはかられている。

ひとまちラボトップページへ

お問い合わせ

プライバシーポリシー