みんコロラボ 〜みんな、新型コロナ対策どうしてる?〜

コロナ禍でも、職員・利用者・地域で「さらに彼方へ」

要約

社会福祉法人佛子園は、障害者福祉事業を軸に、飲食業、温泉、フィットネスなど様々な事業を主に石川県内で展開し、福祉の枠組みを超えて、人と地域をつなぐ「ごちゃまぜ」のまちづくりに取り組んでいる。

法人理念に紐づく2030年に向けた中長期的ビジョンを達成すべく、毎年アクションプランを策定。職員が、利用者や地域と共に、楽しく進められる多数の仕掛けを通じて理念を体現しながら事業を進めていくスタイルは、コロナ禍であっても変わらない。むしろ、コロナ禍だからこそ、大切にする理念や価値に立ち戻り、そこから自分たちが成すべきことを力強く推進している。

本記事では12ある年間アクションプランのうちの2つを取り上げている。職員によるあそび心満載の制作物を法人内で順位づけしていく「あそびロワイヤル」と、4人1チームで健康をテーマとした目標に一緒に取組む「One for 4」だ。

そこには、現場が一丸となって前進し続けるためのヒントが数多く散りばめられている。

  • 法人理念
  • 法人の価値基準
  • 2030年までのビジョン
  • 毎年のアクションプラン
  • 楽しく取り組む仕掛け
  • 本気で遊ぶ
  • 一緒に取り組む
  • 職員が自然にコミュニケーション
  • 周りを巻き込む

詳細

インタビュー実施日:2021年2月26日


この記事を読んでもらいたい方

  • 介護福祉職,
  • 施設職員,
  • 介護施設経営者,
  • 介護家族等,
  • 障害者生活支援員,
  • 相談支援員,
  • 障害者福祉関係者,
  • まちづくりに関心がある方,
法人名&事業所・施設名社会福祉法人 佛子園
お話を聞かせていただいた方障害者支援施設星が岡牧場 施設長岸本 貴之 さん(グループホーム)B’s Homes 代表東川 倫子 さん

社会福祉法人 佛子園とは

知的障害児の入所施設から始まり、石川県内に多数の拠点と事業を展開する社会福祉法人佛子園の原点は、行善寺の住職が孤児を引き取って育てるなど、子どもたちの生活支援を行っていたこと。現在は社会福祉事業を柱としつつ、飲食・温泉・フィットネス等の事業をつうじて、老若男女、国籍、障害の有無にかかわらず、ごちゃ混ぜで楽しく暮らせるまちづくりを進めている。

今回コロナ禍における佛子園の取組みについて話してくれたのは、10人いる代表者の内の二人、星が岡牧場施設長の岸本さん、B’s Homes代表の東川さんだ。

『星が岡牧場』は障害者入所施設や生活介護、放課後等デイサービス、相談支援、就労継続支援、グループホームなど、多数の障害者関連事業を展開する拠点の一つ。『B’s Homes』は同じく多数の障害者関連事業等を展開する拠点『B’s』のグループホーム部門に当たる。B’sと同じ場所には、高齢者向けサービスの他、温泉や飲食店など地域住民も気軽に立ち寄れる『三草二木 行善寺』もあり、両者を合わせて総合的なコミュニティーの拠点となっている。東川さんが代表をするB’s Homesの12のグループホームはこのB’s・行善寺を取り囲むように点在している立地だ。

PLVS VLTRA(プルス ウルトラ)・ごちゃまぜ

ここで、インタビュー中にも頻繁に登場した佛子園が大事にしている価値を紹介しておきたい。

一つ目はホームページにもある法人理念『“PLVS VLTRA(プルス ウルトラ)”さらに彼方へ』だ。PLVS VLTRA(プルス ウルトラ)は「もっと先へ、もっと向こうへ、さらなる前進」などの意味を持つラテン語に由来を持つ言葉である。佛子園の様々な営みは、各人が常により先にある地平を目指して歩みを止めないという理念の中から生まれている。そこに人がいる限り、佛子園の活動は続いていくという想いが伺える。

二つ目は「ごちゃまぜ」だ。佛子園が発行する広報誌『妙林姉80号』には『第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略』に佛子園が実践・提唱してきた「ごちゃまぜ」の理念が盛り込まれたことを紹介している。『全世代を対象とし、制度の縦割りを超え、誰もが居場所と役割を持つ「ごちゃまぜ」のコミュニティづくりを推進する』(第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」p69より)

岸本さんもインタビューの中で「生きとしいけるものすべての人々が混ざり合う中で相互に関わり合い刺激し合う関係性を創り出し、今まで体験し得なかったような共感性を互いに呼び起こすことで前向きに生きようとする心の様態を醸成すること」(西川英治「地域居住施設群の建築設計に関する実践的研究」2020)の引用から「ごちゃまぜの本質」について紹介してくれた。

こうした「ごちゃまぜ」からの創造と、PLVS VLTRA(プルス ウルトラ)という終わりなき探求という価値が佛子園の様々なアクションに繋がっているようだ。

感染症対策をしながら

さて、こうした多様な取り組みと理念を掲げる佛子園だが、新型コロナにはどのような対応をしたのだろうか。

岸本さんからは、『コロナ禍においての佛子園基本姿勢』が紹介された。「自粛はするが、萎縮はしない。単に恐れるのではなく、政府や地方自治体がその都度発表する情報をベースに、皆で工夫をしながら様々な活動を保証して、セーフティネットであり続ける。やめることは簡単なので、やると決めて、そこから知恵を皆で出し合って工夫して進めることをやってきました」このような基本姿勢がある中で、各施設利用者の状況などを鑑みて、施設長が現場と話し合いながら都度判断していったという。

東川さんに管轄する12のグループホームで実際に行なった対策について伺った。「公共交通機関を使う利用者さんは使わないようにして頂くことはありました。ただ、外出を無しにするのではなくて、少人数で私たちスタッフと移動するなど、工夫をしていました」と話す。各ホームにいる世話人などの職員には、消毒やマスクなど基本的な感染症対策を徹底。また、職員が抱える不安について何回も話し合う機会を持ち、安心してもらえることを心がけたという。

点在するホーム同士が離れているため、職員も利用者も時に孤立しがちになってしまう。そのため、不安があったら中央に位置するB’s・行善寺に相談に来てもらうよう伝えたという。その他、LINEグループを作り、密なコミュニケーションを取るなど、東川さんはコロナ禍でも現場が不安にならないような工夫をしたようだ。

先述したように佛子園は障害者の入所施設から飲食業まで事業領域が幅広い。法人一律ではなく、基本姿勢に則って情報収集を行い、各施設長や代表が所属している医療職や現場職員、利用者などと相談しながらそれぞれの対策を進めていったようだ。

コロナ禍でも地域と共に

次に岸本さんは、コロナ禍での新たな地域貢献について紹介してくれた。その一つが奥能登の拠点である日本海倶楽部での(モノの消毒等に活用できる)次亜塩素酸水の自家生成と無料配布である。職員、利用者と保護者、各拠点周辺の地域住民(温泉無料世帯)、GOTCHA!WELLNESS会員に配り、往来の制限ではない形で地域の健康管理に役立てたそうだ。

[次亜水配布1]
ご提供資料より
[次亜水配布2]
ご提供資料より

さらに、トランスフォーマートラックが各地域を回る取組みもあるという。新型コロナの交付金を使って導入したもので、地域の困りごとに応じて運ぶものが変わる。例えば、買い物難民が多い地域では商品を乗せて移動販売車になるが、時には法人内のフィットネス事業であるGOTCHA!WELLNESSのトレーナーが乗ってきて地域の方に健康を届けるなど多様だ。

[移動販売車トランスフォーマー]
ご提供資料より

これらは様々な活動のごく一部だが、コロナ禍においても法人をあげて地域社会の一員として様々な貢献をしていることがうかがえる。

佛子園が掲げる2030年のビジョン

さて、次に佛子園のアクションの骨格である『BUSSIEN VISION 2030』について紹介していこう。

2015年に国連が提唱したSDGs(Sustainable Development Goals)を聞いたことがある人も多いのではないだろうか。これは世界各国が2030年までに達成すべき17項目の持続可能な開発目標を掲げたものだ。このSDGsの佛子園版と言うべき12の成長目標として始動したのが『BUSSIEN VISION 2030』である。2018年から策定委員会を設けて、2019年からスタートしている。

[BUSSIEN VISION 2030]
ご提供資料より

『BUSSIEN VISION 2030』の12の各目標に対してその年毎にアクションプランを作成して実行。これを繰り返し続けることで、2030年になる時には12の目標全てを達成することを目指すという壮大なプロジェクトだ。

2020年、岸本さんは4『あそびから未来を変える』を担当し、アクションプランは『あそびロワイヤル』、東川さんは8『健康にかなり詳しい集団づくり』を担当し、アクションプランは『One for 4(ワン・フォー・フォー)』である。今回のインタビューではこの二つのアクションプランを中心に取り組みを伺っている。

[BUSSIEN VISION 2020のアクションプラン]
ご提供資料より

あそびロワイヤルとは

さて、ここからは岸本さんが担当したアクションプラン2020の4『あそびロワイヤル』について見ていこう。

[あそびロワイヤル]
ご提供資料より

まず、「あそびロワイヤル」のスタートは、岸本さんから毎月遊びのお題が全職員に一斉に送られるところから始まる。初期の頃は、「ボケやギャグを入れてください」という皆を楽しませる遊び要素たっぷりな縛りがあったそうだ。そしてそのお題にそって、各事業所で趣向を凝らした個性的な制作物が提出されてくる。そして提出された作品は約200人の正規職員へ送られ、投票によりその月の順位が決まるというものだ。強制ではなく、任意であり、遊びたい事業所だけ提出してくる。また、作品の提出は事業所で一つと決まっており、必然的に職員同士でコミュニケーションが生まれる仕掛けになっている。

具体的な例を挙げると、5月は『自慢の新任紹介!』と題して、新人職員を4コマ漫画で紹介するというものだった。パワーポイントで4コマ漫画の書式だけを全事業所に送り、その書式に写真でも文字でも自由に埋めて提出するという流れだ。

こうしたお題に毎月取り組み、作品を見ていくうちに、楽しく遊ぶというマインドが浸透していく。回を重ねるごとに遊びの質が向上し、提出される作品も凝った編集を施した動画になるなど、エスカレートしている。佛子園職員が全力で遊んでいる動画は記事最下部にリンクがあるので、是非実物を見て堪能して頂きたい。

あそびロワイヤルについて岸本さんは「発信している私も含めて、ここまでみんながあそび始めるなんてことは全く予想していませんでした。コロナの影響でお互いを知ることは、利用者さんだけじゃなくて、スタッフ同士の関係性でも難しくなっていました。だからこそ、相手のことを知ることが大事だと思うんです」と思いを話してくれた。

全力で遊ぶマインド

あそびロワイヤルは、2020年春の緊急事態宣言が全国に出された頃に始まった。一見するとコロナの自粛ムードを払拭するために、こうした取組みをしたようにも思える。しかし、岸本さんはコロナをそれほど意識していなかったという。「遊びは、佛子園の中核をなしているマインドなんです。特に障害のある子供達のサービス内容についても、遊びは中心になっています。コロナ禍に関わらず、遊ぶんだ、楽しむんだ、ということはうちの法人の中心なんです」と力強く話してくれた。

岸本さんは続ける。「遊びのマインドに利用者さんを巻き込んで一緒の方向を向くんです。向き合うではなくて、同じ方向を向いて楽しむというスタイルなんです。だから、コロナじゃなくても同じようなテーマだったと思います」岸本さんは、動画等を通じて、遊びのマインドを職員が全力で表現している姿を示しながら熱弁してくれた。

また、岸本さんは佛子園と遊びについての古い話をしてくれた。今から20年以上前、岸本さんが現在施設長をしている星が岡牧場では、ビール好きな利用者や職員の遊びが高じてクラフトビールの制作につながった。その後、法人内のレストランで提供され、ファンは各地にいると言う。まさに、法人の中に遊びのマインドがあるというエピソードだろう。

[日頃から全力で遊ぶオトナ]
ご提供資料より

一緒に楽しむことが人を変える

あそびロワイヤルを振り返って、岸本さんは、一人一人の力が本当に引き出されたと語る。佛子園ではPCP(Person centered planning)「人を中心に据えた計画づくり」と訳されるケアを長らく実践しているのだが、PCPを改めて学びなおす機会になったという。「お題に取組む職員同士が、相手の思いを大事にして、会話を重ねながら外に発信できたことは良かったですし、職員間の関係も深まったと思います。何かを通して一緒に楽しむスタイルはここまで人を変えるんだということを実感しました」とあそびロワイヤルを総括する。

また、毎月お題が降ってくる側だった東川さんもこの取り組みが本当に楽しく、意外性も含めて、互いの発見などにつながったと振り返る。「みんな本当に楽しそうでした。やらされている感は全くありませんでした。人を巻き込むことは大事だねってみんな共感してやっていましたし、それは利用者さんの支援にもつながることだと思います」

佛子園では、遊ぶということをきちんと哲学し、その理念を事業運営に根付かせ、職員が全力で遊ぶことで、利用者、職員共に同じ方向を向いていけることに取り組んでいる。様々な仕掛けも含めて、遊びが職員の結束を高めたり、新たな着想に繋がったり、利用者や地域への貢献にもつながっている。コロナ禍だからこそ、なお一層あそびロワイヤルには深みがあるのではないだろうか。

One for 4(ワン・フォー・フォー)とは

次は東川さんが担当となり、また、自身もこの取り組みに一チームメンバーとして参加した2020年アクションプランの8「One for 4」を見ていこう。

[One for 4]
ご提供資料より

東川さんは「コロナ禍で、健康に対して意識を高めたり、詳しくなろうという目的で始めたのがOne for 4です」と話す。4人1チームで、健康に関するチーム目標や個人目標を定め、それに向かってチームが一緒に1年間取り組んでいくというものだ。痩せたい、筋肉をつけたい、など健康に関する悩みは多くの人が抱えるが、なかなか重い腰が上がらない。それを4人で一緒に取組むコンセプトにすることで、楽しく励まし合いながら続けられるという仕掛けだ。さらに、GOTCHA!WELLNESSを1年間無料で使えるようになったり、チームそれぞれにトレーナーが伴走してくれる特典もあり、本格的に健康目標を達成できるような後押しもあるのも嬉しい。

法人全体にこのお題を投げた結果、14チームがエントリーした。メンバー構成は基本的に自由。職員、利用者、雇用形態、事業所別など様々だそうだ。東川さんのチームは、3人のスタッフと、1人の利用者というメンバーだ。

[One for 4参加チーム目標発表時の様子]
ご提供資料より

みんなでやるから続けられる

東川さんのチームではメンバーの利用者ご本人も続けられるという点から、いかに楽しめるかということに着目したという。結果、ご本人が好きな自転車という切り口から、かっこいい自転車に乗りたいということになり、チームメンバー全員が同じメーカーの自転車を買い揃えたという。ちなみに利用者も職員も自費での購入だ。

[東川さんチームメンバー]
ご提供資料より
[チームで買い揃えた自転車]
ご提供資料より

その後は定期的に集まって、自転車に乗ってサイクリングに出かけたり、自転車に乗らずとも、色々な話をして、声を掛け合うなどチーム内のコミュニケーションが活性化しているという。時にはGOTCHA!WELLNESSへ行って皆で体を動かしたりしている。他のチームメンバーもGOTCHA!WELLNESSでトレーニングをしていることもあり、互いに刺激を受け合っているそうだ。

[GOTCHA!でトレーニング]
ご提供資料より

ちなみに岸本さんの拠点から参加したチームは登山をしたり、美味しいものを食べるということで料理教室をされたりしているそうだ。チームによって活動も様々だ。

東川さんは「やらされている感では続きません。健康が目標ですが、楽しみながら一緒に取組むことが大事なんです。利用者さんも一人では行かないけれど、一緒に行きましょうと声をかけると参加される。本当に大きな変化だったと思います」とOne for 4 に対するこだわりと成果について話してくれた。

3月には、1年の仕上げとして、14チームにダンスの課題曲が課せられているという。チームで取り組んだダンス動画に対してあそびロワイヤルのように職員が投票、勝ち残った7チームが3月末に自由曲を踊って優勝を決めるという流れだそうだ。

One for 4 の肝はお互いに支え合い続けるプロセスにあるという。失敗するプロセスも楽しむこと。コロナ禍において、時に中だるみや関われない瞬間も出てくる。そうした中でも、それぞれがどうやったらできるかを工夫し、ワンチームで1年間やり遂げるということ。そこにこの取組みの価値があるそうだ。

コロナ禍でできる応援の形

岸本さんからは、その他にもコロナ禍にあってもできることを考えて様々な取組みをしていることが紹介された。

「コロナで法人内の飲食事業は少なからず影響を受けました。ダベルって石川県で、ぐうたらするみたいな言い方なんですけど、こうした飲食店を応援したいということで、ダベルバというリモートで各拠点をつないだオンライン飲み会をやりました」

[「ダベルバ」のワンシーン]
ご提供資料より

こうした企画は、現場のリーダークラスの拠点間会議で発案され、上層部の会議で決裁されて実施されたものだという。こうした様々な取り組みが現場の発案から生まれており、月ごとの計画として盛り込まれていく仕組みがあるそうだ。

本気度が違うクリスマスパーティー

最後に紹介されたのは年間行事である法人のクリスマスパーティーだ。これは、毎年、地域の多くの方々を招いて開催している大きなイベントだという。しかし、2020年12月当時は、近隣でもコロナが広がってきている時期であり、かなり慎重に開催したものだったそうだ。

「やらないという選択肢も取れました。ただ、地域に対してとにかく元気を届ける。そうしたメッセージを伝えるということで、万全の対策をした上で開催しました。」と岸本さんは話す。具体的には感染対策班を配置。会場に入る人は全員検温やマスク等感染防止のチェックを受け、チェック済であることがわかるシールを貼ったという。飲食の場所を離し、一定の人数制限や入場時間をずらすなど、できることは全て行なったという。

そうした対策のもと、延べ約300人の参加があり、多くの地元の方から「よくぞやってくれた」という賞賛の声を頂いたそうだ。

イベントではチアリーダーや太鼓のパフォーマンス、理事長も踊るハカが披露されるなど大いに盛り上がったそうだ。もちろん、パフォーマーの皆さんは、数ヶ月の練習期間中から感染症対策を心がけ、当日に臨んだという。

やめるのではなく、やることを工夫するという基本姿勢を貫徹して、コロナ禍であってもみんなで頑張っていこうということを再認識できた本当に良い機会だったと岸本さんと東川さんは振り返る。

[クリスマスパーティーでのハカ]
ご提供資料より
[チアリーダーのパフォーマンス]
ご提供資料より

変わり続けられる場所

最後に、お二人にとっての佛子園について思いを語って頂いた。

岸本さんは少し考えた後「やっぱり変わっていけることが素敵だ、ということに気づかせてもらっていると思います。何歳からでも人は成長できるんだ。変われるんだっていうことを実践している理事長の姿を見て、自分自身も変わってきているし、変われることの楽しさを感じさせてもらっています」と自身に大きな影響を与え続けている、雄谷理事長のことを話し出した。

「雄谷は僕が入職した時から言っていること、目指していることが一切変わっていないんです。その発信に共感した人が周りに集って、実際にだんだん形になっています。目指していることは昔から変わらない。でも彼自身はその目指すものを実現するために変わり続けて、成長し続けている。それが正直かっこいいと思うんです」

さらに、岸本さんに対して法人が気づきを与えてくれたエピソードを話してくれた。「実は、僕は施設長トライアルという制度の中で、2回施設長をクビになってるんです。品格がないということで。流石にショックでした。でも僕みたいに調子に乗ってしまう人間には、試練を与えてまたチャレンジさせる。気づきを与えてくれる。3回チャレンジしたのは僕だけ。本当に一人ひとりをよく見てくださっているところなんです」

そして、入職面接時に亡き会長に言われた言葉が強く残っているという。「福祉、人と関わるということは、誰かの人生に一回関わるということ。その人の人生に関わり続けていることを自覚していますか」と。音楽に板前、虫博士と自分の将来が漠然としていた当時の岸本さんはこの言葉に電撃が走るようなショックを受けたそうだ。「でも今ならその意味もわかるし、この佛子園ではそれができる。だからここで頑張っていきたいって思っています」と話してくれた。

やりたいことを形にできる場所

東川さんにとっての佛子園についても伺ってみた。

「私は一言で、人と関われること、繋がれるところだと思っています」と話す。東川さんは元々総務の事務職として入職した。利用者と関わるうちにその楽しさに気づき、グループホームで働くことを自ら希望したという。

岸本さんがすかさず補足する。「法人の中で、唯一自分の仕事を自分で決めてきている人が東川なんです。この人は次々に自分がやりたいことを見つけて広げていく主体性の塊なんです。そうした東川のような人間を、法人はどんどんやりなさいと応援してくれるんです」と東川さんの主体性と、それを後押しする法人のスタンスについて話してくれた。

そして東川さんは「きちんとアドバイスも頂いて、工夫もされて、形にしてもらえるところが本当に佛子園のいいところだなと思っています」と笑顔で話してくれた。

お話を伺って

お二人からBUSSIEN VISION 2030 に紐づいた、2020のアクションプランや、コロナ禍における様々な取組みについて話を伺いました。斬新さに目を奪われますが、実はその中心には、佛子園が長年培ってきた理念や価値がしっかり根付いていることが見えてきました。

またその理念や価値を楽しみながら体現していける仕組みが随所に盛り込まれていることも印象的でした。ブレない理念や価値を元に職員が利用者や地域と共に様々なチャレンジをしている。一朝一夕では築けない佛子園の歴史と未来に向かう営みそのものを伺うことができました。

これまで、コロナという特別な環境に対してどう向き合っているかという視点で話を聞いてきましたが、佛子園のお話を伺い目からウロコが落ちました。コロナであっても、自分たちが目指し、実践することは何も変わらない。そのための工夫があるだけということです。

私たち介護や福祉に携わる者が、そもそも何をなすべき者なのか。そうした根本的なことを改めて考えさせて頂ける事例でした。

■参考 社会福祉法人 佛子園 ホームページhttp://www.bussien.com/#/

社会福祉法人佛子園『妙林姉80号』2020年6月22日http://bussien.com/wp/wp-content/uploads/2020/06/myouringaki80.pdf

内閣官房・内閣府
 総合サイト『みんなで育てる地域のチカラ 地方創生』 ホームページ
『まち・ひと・しごと創生「長期ビジョン」「総合戦略」「基本方針」」』より
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/mahishi_index.html

第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」2019年12月20日https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/info/pdf/r1-12-20-senryaku.pdf

■ご提供資料 動画:R2年8月期あそびロワイヤル「私の健康自慢part2」https://hitomachi-lab.com/research-info/wp-content/uploads/movie/bussien_health.mp4

動画:R2年9月期あそびロワイヤル「あんな夢♪こんな夢♪」https://hitomachi-lab.com/research-info/wp-content/uploads/movie/bussien_dream.mp4

インタビュー担当:堀田 聰子
記事担当:金山 峰之

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