みんコロラボ 〜みんな、新型コロナ対策どうしてる?〜

コロナ禍でもメンバーの社会参加をあきらめない“攻め”の取り組み

要約

東京都町田市の地域密着型通所介護事業所・DAYS BLG!では、介護する側・される側に関係なく、ここに集う「メンバー」として、素になれる居場所を作り、一人ひとりの想いを一緒にカタチにしている。有償ボランティアや地域企業のお手伝いなどの社会参加はそのひとつであり、認知症になっても「はたらく」ことを通じて、他の誰かに貢献できる、そんな人間の根源的な願いを実現しようとしている。

コロナ禍の2020年。当初は、デイサービスをどう止めずに運営できるか、そのなかでメンバーさんの活動をどう維持していくのか、出口が見えずにいた。そんな中、感染対策支援の医療チームとの出会いがきっかけとなり、感染症に向き合いながらも、自分たちにできること、進む道があることを見出し、“止まっていたものが動き出した”という。

具体的には、メンバーで販売可能な感染防止のビニール製ガウン作りを開始。その後、近隣のB型事業所と協働してガウン作成・配布の取組み、助成金を活用して感染対策物資の調達とニーズのある事業所への配送、さらに企業からの依頼でコーヒーボトルのラベル貼りなど、メンバーさんも地域もハッピーになる“仕事”を継続的に創り出している。

  • デイサービス
  • 認知症高齢者がはたらく
  • ガウン作り
  • 感染対策の物資配送
  • B型事業所との協働
  • 助成金
  • クラウドファンディング

詳細

インタビュー実施日:2021年2月5日


この記事を読んでもらいたい方

  • 介護事業所の経営層,
  • 介護事業所の管理者,
  • 介護事業所の職員,
  • 業界団体関係者,
  • 自治体担当者,
  • 就労継続支援B型事業所の関係者,
  • 要介護高齢者・家族
法人名&事業所・施設名特定非営利活動法人町田市つながりの開 DAYS BLG!
お話を聞かせていただいた方メンバー(主任)佐藤亜美(つぐみ) さんメンバー(スタッフ)島形愛美 さんメンバー町田克信 さん

仲間とはたらくDAYS BLG!

DAYS BLG!は、東京都町田市で特定非営利活動法人町田市つながりの開が運営する小規模な地域密着型通所介護事業所で、東急線「こどもの国」駅からほど近い住宅街に位置している。「BLG」は「Barriers Life Gathering」の略で、“障害のある生活を、皆で集まって、感動的なものにしよう”という意味が込められている。

ここでは、利用者のことを“メンバーさん”と呼んでいるが、介護する側・される側に関係なく、ここに集う「メンバー」として、日々ともに活動をする仲間であると考えているからである。メンバーがともに時間を過ごすことによって素になれる居場所を作り、一人ひとりの想いをカタチにしながら彩ある日々にしていくことを大切にしており、社会参加はその一つの手段として採り入れている。

「仲間とはたらく」ということをコンセプトに、対価を得る有償ボランティアや地域社会に役に立つボランティア活動など様々な仕事ができる環境を整えている。例えば、公園の清掃、洗車、チラシのポスティング、室内で行う作業などさまざまであるが、それは認知症になっても、要介護になっても、社会とのつながりを大切にし、地域社会や他の誰かに貢献できる、そんな人間の根源的な想いを実現しようと考えたものである。また、社会参加も、仲間とだから楽しいし、価値あるものとなる。

▲「こどもの国」のベンチ拭き清掃。地域社会に貢献するお仕事です。
▲近隣のHONDAカーディーラーでの洗車作業。謝礼を受け取ってやっています。
▲KOKUYOさんからご依頼のノベルティグッズ“付箋の袋詰め”。細かな手作業も。

DAYS BLG!の基本的考え方は、“ハブ機能を果たす”というものだ。ハブ機能とは、空港のように好きな場所に行ける拠点となるという意味合いである。DAYS BLG!をハブ空港として、メンバー同士のつながりを大切にするのはもちろんのこと、地域社会や企業などと積極的につながりを持つことを重視している。“弱い立場”にいる人をお世話するとか、なにがしかの介入をするというのではなく、ハブになることにより、障害に関わらず自分の力で生きる意欲と強さを育むことができているという。

そんな先進的な取り組みを行うDAYS BLG!は、新型コロナウィルスにどう向き合い、メンバーさんの活動をどのように維持・継続してきたのだろうか。今回は、DAYS BLG!の主任であり地域づくりコーディネーターを務める佐藤亜美(つぐみ)さんにお話をうかがった。インタビューの後半は、スタッフの島形愛美さん、メンバーの町田克信さんも、保護犬のホップとともに話に加わってくれた。

▲インタビューに応じてくださった佐藤さん

「絶対に休業しない」という想いを軸に暗中模索した2020年春

新型コロナとともにスタートした2020年。DAYS BLG!においても多くの介護福祉現場と同様、情報不足と不安の中で混乱があった。メンバーさんの活動をどう維持していったらよいのか、そもそもデイサービスをどう安定的に運営していけばよいのか、出口が見えず、組織の土台すらも危ういと強い危機感を持つ状況であった。

「なんか出口が見えない感じだったんですよ。進む先がない感じだったんです。何に向かって活動していったらいいか分からない感じでした」と佐藤さんは振り返る。

3月の緊急事態宣言を受けて、休業を決断する介護事業所も少なからず出ていた。いつも清掃に行く「こどもの国」も1ヵ月ほど休業し、近隣の店も営業自粛するところが多かったため、DAYS BLG!の活動自体も、自ずと一時的な縮小や変更を余儀なくされる状況であった。「働きたくて集まっているのに、はたらく機会が減っている。いったいどうしたら良いのか」。

そうしたなか、「絶対に休業はしない」という、ただその想いを軸に、何ができるか模索し続けた。「2週間休業するだけでも、メンバーさんの生活が大きく変わってしまいます。うちの理念として、やっぱりメンバーさんの想いを実現するのが私たちだから、最低限できる感染症対策をしながら活動を続けていくっていうのを決めました」と佐藤さんは言う。最低限の感染対策といっても、「当初は、これでいいのかな、やってるけどこれで大丈夫なのかなというのはありました」と不安も拭い去れなかった状況も語られた。実際、春の段階で、コロナ禍では働けないというスタッフも出てきたり、家族の意向を受けて通所をやめたメンバーさんもいた。

不安や先が見えない不確実性の中にあって、DAYS BLG!がまず取り組んだことは、収益率確保のために、町田市に、人員基準を満たすことができない場合にも、新型コロナの影響に伴う一時的なものであることや、サービスの質を維持することなどの条件を満たせば、加算を維持することができるという人員配置基準にかかわる臨時的な取扱いを働きかけるとともに、シフトの調整などによる残業削減など事業所内で可能なコスト削減であった。まずは事業所存続のための、“守り”の取り組みであったと言える。

5月、止まっていたものが動き出した

そんな状況を大きく転換したのは、2020年5月に風に立つライオン基金による“ふんわりチャンポン大作戦”の支援を得る機会に恵まれたことである。ふんわりチャンポン大作戦”は「公益財団法人風に立つライオン基金」が、新型コロナの流行を受けて始めた介護福祉現場に知識・技術・安心を届けることを目的としたプロジェクトで、全国で医療チームの派遣や相談会の開催等を行ってきた。

事業所を訪れた医師や看護師等のチームに様々な相談をする中で、感染症に向き合いながらも、自分たちにできること、進む道があることを見出し、“止まっていたものが動き出した”。この時のことについて、佐藤さんは次のように振り返る。「感染対策が目的になるとこの活動は継続できません。どっちが目的なのかっていう話で、私たちはこの事業所で、メンバーさんの活動を実現していきたい。こういう活動をするなら、さらにここを気を付けるとよりしっかりとした感染対策になる、というようなやりとりをしながら、来てくださった医師や看護師の皆さんとの対話に基づいて、ガイドラインを決めていきました」と。ここで感染対策を厳重にして自粛することが目的ではないことに気付いた。

さらに、「5月からチャンポンに関わり始めて、守りだけじゃなくて攻めの姿勢もできるということを、感じたのです。まさに止まっていたものが動き出したという感じでした」と言う。むしろ、新型コロナを手がかりに、メンバーさんの活動の幅をどれだけ広めていけるのかという“攻めの姿勢”に切り替わるきっかけであった。ふんわりチャンポン大作戦の医療チームとの出会いは、単に医療的な知識や信頼できる相談窓口を得たというだけではなく、攻めの姿勢で動いている団体や人々に触発され、前に進むための力を得る出来事であった。

▲ふんわりチャンポン大作戦の医療チーム来訪。メンバーさん・スタッフがともに学ぶ。

感染防止のガウン作りを始める

こうして攻めの姿勢に転じたDAYS BLG!では、6月頃から感染防止のビニール製ガウン作りを開始した。佐藤さんは、ふんわりチャンポン大作戦でのつながりから得た情報で、就労継続支援のB型事業所が使い捨てのガウンを作っていることを聞き、そこで作り方、資材の調達先などを教えてもらったそうだ。また、作ったガウンは、風に立つライオン基金が買い取り、医療や介護の現場に無償で提供するというところまで道筋をつけた。この話を事業所に持ち帰ってメンバーさんに相談したところ、「えー、いいよー、できる範囲でなら」という反応であったが、どうやら「よし、やるぞ」と熱くなるというよりは、普段の活動が1つ増えたという程度の認識であるらしい。こうして、感染対策のガウン作りが始まった。

▲ガウン作りに取り組むメンバーさんとスタッフ。製作に当たっては、3人がかりでビニールシートを切断。テープで張り合わせ、ポリ袋に入れて密閉します。

助成金を得て、感染対策物資を配送

DAYS BLG!では、ふんわりチャンポン大作戦から得た知見をもとに感染対策のガイドラインを見直し、それを積極的にSNS等で発信していくなど、他事業所への情報発信・共有にも努めた。そのように前向きに発信していると、同じ想いを持つ仲間やつながりから、逆に様々な有用な情報も入ってくるようになったが、そうした有用な情報の1つに助成金情報があった。

まず最初に申請したのは、クラウドファンディング「READYFOR」による「新型コロナウイルス感染症拡大防止活動基金」であった。これまでやっていたRUN伴(ランとも。認知症の人や家族、支援者、一般の人がリレーをしながら、1つのタスキをつなぎゴールを目指すイベント)のTシャツ配送の活動がなくなっていたので、それに代わるものとして、感染対策の物資を配送するという企画を立て、見事300万円の助成金を獲得することができたのである。当時は、マスクやアルコール消毒、衛生用品などの物資の価格は高騰し、その確保が十分ではない小規模事業所も多かった。DAYS BLG!では、助成金を得て、直接メーカーと交渉し、感染対策物資を配送する手はずを整えた。時期は、9月のことであった。

▲感染対策の物資を調達してセットを作り、必要な事業所に配達する仕事です。

実はその間に、もう1つ別の助成金にチャレンジしていた。コロナ禍での社会問題を解決するようなソーシャルビジネス支援の助成金であった。そこでは、これまで風に立つライオン基金に買い取ってもらっていたガウンを、事業所のホームページでも相場より安い価格で販売できるようにし、収益をメンバーさんに還元できるような企画を立てた。これにより、認知症になっても仕事ができる一歩になると同時に、社会課題の解決につながる一歩にもなるというもので、この助成金も見事獲得することができた。こうして、感染対策の物資の配送やら、ガウンの作成・販売やらと、いろいろなことが同時並行で動き出したのである。

ついにキャパオーバー、近隣のB型事業所との連携へ

こんなふうに次々に仕事を作る仕掛け人が佐藤亜美さんだ。日頃より広くアンテナを広げ、当事業所での活動以外にも、地域づくりや認知症高齢者支援に関する取り組みをしている。情報をとってきては、スタッフとメンバーさんに相談しながら活動を展開していく。だいたいの場合は、「こんなのあるけど、どうかな?」、「できる範囲だったらいいよ」という軽いノリのやりとりで、活動のバリエーションが増えていくことになる。

首尾よく2つの助成金を獲得して、感染対策の物資の配送や、ガウンの作成・販売などが同時並行で動き出してからは、大忙し。DAYS BLG!だけでこなせる活動量ではなく、ついにキャパオーバーとなりかけた。そこで、近隣のB型事業所にガウン作成の話を持ち込んだ。もともと、「こどもの国」の清掃を一緒にやるなどワークシェアをしている事業所である。そのB型事業所はレストランをメインにやっていたので売上が激減しており、ガウン作りは願ってもいない就労の機会となった。先にも触れたように、ガウンは風に立つライオン基金に買い取ってもらえる。B型事業所のメンバーはせっせとガウン作りに取り組み、そのスピードがあまりに早いため、一時は在庫過剰な状態になりかけたほどだという。しかしそれも、広く医療・介護・福祉関係の事業所に無料ガウンの宣伝をかけた結果、追加発注があるほどに需要は大きくなった。

活動は次々に発展していく

DAYS BLG!の基本コンセプトが“ハブ機能”というだけあって、ここから外部との様々なつながりや取組みが生まれていく。次に生まれた活動は、猿田彦珈琲のボトルのラベル貼りの作業であった。これは、佐藤さんが風に立つライオン基金より「猿田彦珈琲のボトルコーヒー3万本を無料で医療福祉の事業所に配るという企画がある」という情報を得て、そのラベル貼りをB型事業所に外注することを提案して実現したものである。

実は、10月に佐藤さんは風に立つライオン基金の活動を地域に啓発する役割を担う「チャンポン大使」に任命されている。佐藤さん自身がハブとなって、“良い取組み”をどんどん地域に広げていく役割を担っているわけである。仕事のチャンスがあれば、どんどんニーズのあるところにシェアしていく。ガウン作りをお願いしている近隣のB型事業所だけでなく、猿田彦珈琲の工場がある調布のB型事業所にも声をかけて、ラベル貼りの仕事は広がりを見せた。DAYS BLG!のメンバーさんとスタッフも、工場に行ってラベル貼りの仕事を体験している。

▲「チャンポン大使」の任命証。
▲猿田彦珈琲のラベル貼り作業をするメンバーさん。
▲出来上がったボトルを両手に“どや顔”で記念撮影。
▲こんなにたくさんラベリングして箱詰めしました。
▲医療や介護の現場に送る荷物の完成

このようにDAYS BLG!の活動は、事業所にとどまらず、地域、関係団体、企業などとつながり、拡大・発展している。

メンバーさんのホンネ。いいことも悪いこともある

ここでメンバーの町田さんと、スタッフの島形さんが保護犬のホップとともに登場する。他のメンバーは、洗車の仕事に出かけており、町田さんと島形さんは昼食のための味噌汁を作っているところだった。

▲メンバーの町田さん(左)とスタッフの島形さん(右)と保護犬ホップ。
※コロナ以前の写真なのでマスクはしていません。

お2人に、佐藤さんの提案でいろいろ活動が増えていくことに対して、どう思っているかズバリお聞きしてみた。まず町田さんは、「もちろん気分が乗らない時もあります。人によっても違います。かなりバラツキがありますから、それはもう一緒にだーっときれいに並ぶような感じではないですよね。普通の人と同じですから、いい時もあれば悪い時もある、好きなものと嫌いなものって多少ありますから、それでメリハリが出てくるんじゃないかな」と言う。

また、「居心地はどうですか?」という質問に対しても、「いいものと悪いものが必ずあるものですから、1つの良いことがどーんとあるんじゃなくて、必ず混じり合ってるわけですよ。だから全部いいものでもないし、全部悪いものでもないしという感覚です。いいことだけっていう場は、ほとんどないでしょう」と言う。良いことばかりでも悪いことばかりでもない。まさに物事の本質であろう。そんな町田さんの一言一言に、取材側は聞き入ってしまった。

スタッフさんのホンネ。最初はメンバーさんと話ができず辛かった

同じ質問、いろいろな活動が増えていくことに対して、スタッフの島形さんは「無茶ぶりっていう感じですかね(笑)。でもメンバーさんが楽しめればいいので、お願いしますって一応受けます」と言う。できるか不安だと思っていても、とりあえずやってみようという気持ちの方が勝つ。何でもうまくいくことばかりではないのが前提なので、失敗してもやってみるという、この事業所の雰囲気が大きいのかも知れない。

実は、そんな島形さんも入職した当初は、なかなか馴染めなかった。「入った時はもうダメでしたね。本当にもう辛かったです。皆さんの前でしゃべるのがとても苦手だったんです」と言う。それが、約2年経つ今となっては、「もう居心地最高だ。メンバーさんと一緒に仕事をして、終わった後にみんなで水筒のお茶を飲むのが最高の達成感なんです」と言う。そんな大きな変化が、一体どうしてもたらされたのだろうか。

「一番大きいのは、メンバーさんを深く知るにつれて、信頼関係ができたことですね」と言う。そしてもう1つ、佐藤さんに関しての印象も聞いてみた。「マイナス発言がないので、だから引っ張られるというか、私結構ネガティブなところがあるので、いつもポジティヴに気分をあげてもらってます。だから気分よく仕事ができます」と。佐藤さんというスーパーポジティヴな上司の、「大丈夫、大丈夫」「何とかなるよ」「やってみようよ」という言葉がけに勇気づけられ、励まされて、小さな成功体験を積みながらここまで来れたことが大きいようだ。

島形さんの夢は、メンバーさんとスタッフと一緒に温泉旅行に行くことだという。そういう傍で、佐藤さんがすかさず「客室露天風呂付きの個室でもとっちゃえばいいんじゃない? 1泊10万円くらいあれば皆で泊まれるでしょう」と言えば、町田さんが「そうそう」と相槌を打つ。ご家族も一緒がいいとか、水着を着て混浴にするとか、オンラインの向こう側で早くも作戦会議が始まる様相であった。

経営者も管理者も“イエスマン”

さて、コロナ禍で感染対策を講じながらも、“攻めの姿勢”でメンバーさんの活動の幅を広げてきたDAYS BLG!であるが、その企画力や実行力の源泉は一体何なのだろうか。メンバーさんの活動につながる情報をとってくるのは、もっぱら佐藤さんだ。それにメンバーさんやスタッフが、「まあできる範囲で」とゆるく乗ってくれる。

しかし、ここで主任がやりたいと言って、メンバーさんとスタッフが「うん」と言えば何でもできるのか、管理者や経営者に承認を得なくて良いのかという疑問が浮かぶ。その点について佐藤さんに聞いてみると、「前田(理事長)も松田(管理者)も、現場から提案することに対しては“イエスマン”でいてくれるんです。失敗したらお尻を拭いてくれる、そういう存在です」という。なるほど、経営者も管理者も、「そんなの無理」とか「失敗したらどうするんだ」などというリスク回避に走るのではなく、良き協力者としての“イエスマン”というわけなのだ。

重ねて佐藤さんは言う。「事業所自体がまったく悲観的じゃなかったっていうのはありますね。やっぱりこういう理念だからこそ、そういう気質の人が集まっているみたいで、誰も悲観的じゃなかったんですよね」と。このポジティヴなエネルギーによって、一体どこまでDAYS BLG!は進化していくのだろうか。ハブ機能を大切にするからこそ、どこにでも飛び出していけそうである。

インタビューを終えて

DAYS BLG!は、認知症になっても仕事をして働ける機会を作るというコンセプトで活動しており、介護業界の中では注目度の高い事業所だと思います。介護保険制度では、要介護の被保険者が働いて収入を得ることは想定されていませんでしたが、理事長が厚生労働省に掛け合い、業界の常識を覆したというエピソードは、この法人の理念や想いの強さがうかがわれます。

そんなDAYS BLG!だからこそ、理念に共感するスタッフやメンバーさんが集まるのだと思いました。危機的な状況にあっても、決してあきらめない、粘り強く可能性を探る、そして誰もがポジティブなエネルギーを交換し合う、そんな事業所の力強さを感じました。コロナ禍でまったく出口が見えない状況も経験しつつ、1つのきっかけから攻めの姿勢に転じることができたのも、そうした理念に基づいたチャレンジ精神、そして柔軟性、粘り強さ、楽観性など危機を乗り越える力が築かれていたからではないかと思います。

そしてもう1つには、共通の理念・目的を持ちながら、一人ひとりは多様でゆるやかにつながっているという、一見矛盾しそうなことが、この事業所ではうまくバランスされているとも感じました。メンバーさんの日常がごく普通に地域や社会に開かれており、仲間やつながりの中で自分らしい生活が実現できています。メンバーの町田さんがおっしゃるように「いい時もあれば悪い時もある」、「いいものと悪いものが必ず混じり合っている」、そして佐藤さんがおっしゃるように「別に、よしやるぞとか熱くなってるわけじゃない」、そんなふうにごくごく普通に仕事をする日常生活を送られています。「新たな生活とケア」のあり方とともに、人の生き方や介護事業所の新しいマネジメントのあり方を考えさせられる事例でもあると思います。

■参考 DAYS BLG!https://xn--daysblg-5c9qzc.app/

新型コロナウイルス感染症拡大防止活動基金https://readyfor.jp/projects/covid19-relief-fund

RUN伴(ランとも)https://runtomo.org/

公益財団法人風に立つライオン基金https://lion.or.jp/

DAYS BLG!から町田市への人員基準の臨時的な取扱いにかかわる働きかけについての資料https://hitomachi-lab.com/research-info/wp-content/uploads/人員基準等の臨時的な取り扱い-活用例.pdf

タウンニュース(町田版:2020年11月19日号)https://www.townnews.co.jp/0304/2020/11/19/551531.html

DAYS BLG!佐藤様ご提供資料

インタビュー担当:菅野雅子、堀田聰子
記事担当:菅野雅子

ひとまちラボトップページへ

お問い合わせ

プライバシーポリシー